藤浪が世界を制す二“投”流 小久保監督びっくり大変身

[ 2017年2月14日 08:17 ]

練習試合   阪神1―4DeNA ( 2017年2月13日    宜野座 )

阪神2番手で登板しWBC球を投じる藤浪
Photo By スポニチ

 侍では「二“投”流」だ。阪神の藤浪晋太郎投手(22)が13日、今キャンプ初の対外試合・DeNA戦(宜野座)に2番手で登板。球が荒れても力でねじ伏せるイメージから一変、多彩な変化球を制球良く投げ込む新スタイルで2回完全投球を見せた。視察した侍ジャパンの小久保裕紀監督(45)も「新しい藤浪という感じ」とびっくり。中継ぎ起用が確実なワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では「剛腕型」と「安定型」を使い分け、世界一に貢献する。

 「二刀流」の大谷はいなくなっても「二“投”流」の藤浪がいる。侍ジャパンの小久保監督、権藤投手コーチが訪れ「御前試合」となったDeNA戦。3回から2番手で登板し、イメージを一新する投球を見せた。最初の打者・関根への初球からいきなりカットボール。その後もツーシームやカーブを多投し、WBC球では変化球主体の技巧派のような組み立てで2回を完全に抑えた。

 「全体的に(直球系の)投球の8割近くツーシームを投げていましたし、自分でも今までにない感じの投球スタイルだったので。確かにそういうテイストでした」

 これこそWBC仕様のもう一つの姿だった。昨年11月12日の強化試合・オランダ戦(東京ドーム)では5回から登板し、いきなり相手4番・サムスに直球を左中間スタンドに叩き込まれた。外国人のパワーを目の当たりにし、思わずマウンド上で苦笑いした。その経験もあり、ツーシーム、カットボールなど直球に近い球速で動くボールに磨きをかけることに着手。力任せに抑えるのではなく、それらの球種をしっかり制球することを意識したのがこの日の投球だった。

 「今日はいろいろ変化球を試したかった。前回(8日)の紅白戦はストレートが良かったので。(外国人打者には)力勝負ではかなわないと自分では思っている。もちろん、速いストレートも必要ですけど」

 驚いたのが阪神唯一の侍を見に宜野座に足を運んだ小久保監督だ。これまでの印象は「荒れ球」と即答したが、別人のような姿に「権藤コーチと一緒に見ていたけど、今までの藤浪ではない、新しい藤浪という感じで非常にまとまっていた」と舌を巻いた。起用法については「先発では考えていないけど、今日のような投球を中の方でやってもらえたら、勝てる確率は格段に上がると思う」と改めて中継ぎとしての期待を口にした。

 もちろん、少々、球が荒れても力で押さえ込むスタイルも健在だ。制球重視の中で直球の最速は153キロ。最後に対戦した白崎には外角の剛速球見逃し三振に仕留めた。もともと「荒れ球」を評価して選んだという小久保監督は「本番ではもっと緊張して今よりバランス良く投げられることはないと思う。逆に散っても大丈夫だし、今のままでも大丈夫というところですね」とうれしい誤算に口元が緩んだ。

 「緩い変化球も使ったし、本当にいい登板だったと思う」と収穫十分の表情。「二投流」に変身した右腕が、同い年の「二刀流」の分まで世界一に貢献する意気込みだ。 (山添 晴治)

続きを表示

2017年2月14日のニュース