武田 「子牛」革の小型グラブで日本一&WBC世界一つかむ!

[ 2017年2月14日 08:32 ]

シート打撃に登板した武田
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 「子牛」のグラブで世界一もつかむ。3月の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に選出されているソフトバンク・武田翔太投手(23)は13日、宮崎キャンプで今季初めてシート打撃に登板した。その左手にはめられたグラブは昨季より約2センチ小さい。投手は握りなど隠す目的で大きめのものを使うが、武田は柔らかさが数段違う希少な子牛の革で仕上げた。その裏には昨季、クライマックス・シリーズ(CS)ファイナルステージの苦い経験があった。

 マウンドに上がった武田がはめるグラブは、守っている内野手と同じか、もっと小さいように見えた。昨季まで使ったモデルから約2センチ小さい。今季初のシート打撃で守備機会はなかったが、今季へかける思いはその左手にこめられていた。

 「球際(の打球)とか影響があるかもしれませんが、操作性を考えた。松田さんのグラブより、小さいと思いますよ」

 製作にあたった久保田スラッガー社によれば、武田の発注したものは内野手用とほぼ同サイズ。小さくすれば、ぎりぎりの打球を捕れなかったり、握りを隠しにくくなるなど弱点になりかねない。だが、より“手に近い感覚”を望み、柔らかさを追い求めて小型化。素材もこだわった。成牛ではなく、通常はグラブに使わない希少な「子牛」の革を使用。「凄く柔らかい」と包み込むように捕れる柔軟性を備えた理想型に仕上がった。

 この決断に至るには、あの屈辱があった。昨年10月のCSファイナルS第1戦(対日本ハム、札幌ドーム)。先発を任された武田は大谷と投手戦を演じたものの、0―0の5回無死一、二塁から大野のバント処理の打球をこぼした。ピンチを広げ一挙6失点。「本当にもったいなかった」。日本一3連覇への夢が消えた試合は右腕の胸に深く刻まれた。

 日本一を目指す前に世界一への戦いが待つ。WBCは右足首の故障で辞退した大谷に代わり、先発を務める予定。この日のシート打撃ではWBC球を使った「新球」を披露した。同じく侍ジャパンの松田と対戦し、初球の145キロと4球目の147キロで空振りを奪った。正体は直球が自然にスライダー回転する「真っスラ」だ。「前から真っスラはするんですが、日本のボールより(WBC球の方が)半個曲がります」。松田も「とらえたと思ったら、曲がった」と幻惑されていた。

 小久保監督就任後、今回のメンバー最多の5試合に先発した武田は「あとはカーブや変化球の精度を高めていく。いい感じだと思いますよ」とニヤリ。国際舞台で勝ち進むには、いかにミスを少なくできるかが鍵を握る。左手にはめられた「相棒」はその象徴だ。狙っているのは世界一と日本一の両獲りだ。(福浦 健太郎)

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2017年2月14日のニュース