【データで見る広島の強さ】セ初“4冠”V 打率&本塁打&盗塁&防御率

[ 2016年9月11日 12:00 ]

<巨・広>涙を流して黒田(中央左)と抱き合う新井(同右)をナインが笑顔で取り囲む

セ・リーグ 広島6―4巨人

(9月10日 東京D)
 広島が2リーグ制後では90年巨人の9月8日に次ぐ2番目の早さで優勝を決めた。投打で他球団を圧倒し本拠地での強さや、逆転劇が目立った戦いぶりをデータで振り返る。 (記録課・志賀 喜幸)

 ☆セ初の4部門制覇 広島が91年以来7度目のリーグ優勝を飾った。12球団ではオリックスの20年を上回り優勝からは最も遠ざかっていたが25年ぶりの悲願を果たした。打率・275、144本塁打、113盗塁、防御率3・28が全てセ1位。この4部門を制してのVは1リーグ制時代の40年巨人と78年阪急、92、02年西武に次ぎ延べ5チーム目で、セでは広島が初の快挙だ。投打にバランスの取れた戦力で84年の75勝を抜く球団新の82勝を挙げ、2位の巨人とは15・0ゲームの大差。80年の6・5ゲーム差を上回る球団最大差のVで15・0以上差は90年巨人(22・0)以来セ6度目の圧勝になる。

 ☆勝ちパターンが確立 防御率1位は前回Vの91年以来と、長年課題だった投手陣の再建に成功した。勝率・824がセ1位の野村とジョンソンがセ最多の14勝、黒田が9勝を挙げるなど先発陣が合計54勝30敗の貯金24。昨季の貯金6(57勝51敗)から大幅増と不安視された前田健の穴を感じさせなかった。また、35ホールドのジャクソンと33セーブの中崎による勝ちパターンが確立。4人以上の継投試合の勝率が昨季の・322(19勝40敗3分け)から・680(51勝24敗1分け)まで改善と、継投策が決まり手堅く勝利をものにした。

 ☆若鯉が本拠地で躍動 マツダでは45勝18敗1分けで驚異の勝率・714。86年と14年に記録した40勝を抜くチームの本拠地最多勝利になった。チーム2冠の打率・336、26本塁打と成長した鈴木は、マツダの6月17~19日オリックス戦で3連続決勝弾を放ちブレーク。同球場では日本人初の2桁アーチとなる12本塁打、打率・342の高打率を残し本拠地の白星量産に貢献した。

 ☆超人的な守備範囲 打球をさばき送球で走者をアウトにするのが補殺。菊池は14年に二塁手シーズン最多の535補殺を達成するなど超人的な守備範囲は知られるところだが、今季も現在482。二塁では田中賢(日)の427を抑え両リーグ最多だ。また、守備率も昨季までは・988(15年)が最高だったが、今季はここまでセ1位の・995(4失策)。進化し続ける華麗な守備も優勝に欠かせなかった。

 ☆逆転のカープ 逆転勝利が12球団最多の42度。89、91、96、04年の各34度を上回る球団新記録で、60年以降では72年阪急、03年阪神の42度に並ぶ最多となった。その逆転劇で目立ったのは中軸の丸と新井。ともにチーム最多となる13本のV打を記録したが、丸はそのうちの10本、新井は8本を逆転試合で打った。新井はさらに、セ最多の98打点を挙げ、殊勲安打も筒香(D)の29本に次ぐセ2位の27本。両リーグ最多の640得点を挙げた強力打線のまさに中心だった。また、中軸にチャンスをお膳立てした1番・田中、2番・菊池の働きも見逃せない。猛打賞をともに両リーグ最多の13度ずつ記録し出塁率は田中が・371、菊池が・368。昨季は1、2番の合計出塁率が・317と低く、選手も固定できなかったが、2人の定着(菊池は2試合欠場)で打線が勢いづいた。

続きを表示

この記事のフォト

2016年9月11日のニュース