福留V20号 中村GM死去から3戦目…連敗止め、ようやく弔い星

[ 2015年9月26日 05:30 ]

<広・神>1回1死一塁、先制2ランを放った福留(左)は今成の出迎えを受ける

セ・リーグ 阪神3-0広島

(9月25日 マツダ)
 阪神は25日、広島戦(マツダスタジアム)で連敗を4で止めた。福留孝介外野手(38)が1回に右中間に先制20号2ランを放てば、先発の能見篤史投手(36)も7回無失点の好投で11勝目を挙げた。23日に急逝した中村勝広ゼネラルマネジャー(GM)へ待望の弔い星を届け、クライマックス・シリーズ(CS)進出にも大きく近づいた。

 亡き恩人が見守るであろう空に向かって大飛球が伸びて行った。初回1死一塁からの第1打席。カウント1ボール1ストライクからの3球目だ。先発の福井が投じた低めのシュートを福留がジャストミート。完璧にはじき返した一撃は右中間席へ消えた。

 「いい感触でとらえられた。ここのところ、相手が先制してゲームの主導権を握られていたようなゲームが続いていた中でしたし、先制点を取ることができて良かった」

 連敗阻止への導く一撃だった。3日の広島戦(甲子園)以来、17試合ぶりの一発は先制の20号2ラン。「僕はホームランバッターじゃないんでね」。そう自己分析しながらも中日時代の06年(31本塁打)以来、9年ぶりとなる20本の大台に到達した。昨季9本塁打から一転、38歳の今年も長打力は健在だ。年齢を感じさせない非凡な能力を誰よりも評価していたのが中村GMだった。

 「こうやって僕が阪神でプレーできているのは、中村GMに最初に声をかけてもらったから。何とかして早く白星を、と思っていたけど勝てなかった…。でも勝てたんで、あすにつなげたい」

 試合後は感慨深げに言葉をつなげた。12年オフにDeNAとの争奪戦の末に阪神へ入団。元メジャーリーガーをタテジマの道へと導いたのが中村GMだった。23日に遠征先の都内で急死。背番号8が放つ20本目のアーチを見届けることなく、この世を去った。無念は想像もできない。

 「きのうも自分が1本打っていれば変わっていた。真ん中を打たせてもらっている以上は何とかしないといけない」

 前日24日の中日戦でも拙攻に泣いた。自身も得点圏に走者を置いた打席では見逃し三振。3番打者として敗戦の責任を背負っていた。猛虎に漂う重苦しい空気をついに一掃。連敗も4で止めた。「最後まで勝つ姿勢を見せていきたいと思う」。残り6試合。リーグ優勝は絶望的の状況だ。それでも前を向いて戦う。強い猛虎を再建するために尽力した恩人の志を受け継ぎ、最後の最後までファイティングポーズを解く気はない。(山本 浩之)

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