ヤンキース 険しい世界一への道、Aロッドが語る決戦を制す方法とは

[ 2015年9月22日 09:00 ]

ヤンキース世界一へ欠かせない存在の田中

 レギュラーシーズン最終盤を迎えたメジャーリーグ。田中の所属するヤンキースは首位ブルージェイズを追い逆転優勝を目指しているが、プレーオフ出場がかなっても世界一への道は険しい。

 頼るべきは投手力。右大腿裏の張りで23日(日本時間24日)のブルージェイズ戦先発を回避したが、田中はここにきて大事な試合を任せるにふさわしい投球内容を見せている。後半戦は12試合で7勝4敗、防御率3・18で被打率は・216。前半戦の防御率3・63、被打率・224から大幅に数字が改善した。そこにピネダ、新人右腕のセベリーノ、最近3試合で17回1/3を投げ自責点2の左腕サバシアが復調気配と先発陣はある程度、計算できる。救援陣もベタンセス、ミラーの勝利の方程式も信頼度は高い。ジョー・ジラルディ監督も「先発陣もよく投げているし、ブルペンには自信がある。いかに彼らを健康な状態で保てるかだ」としている。

 一方で大きな不安は野手陣だ。もともと打撃優先のチーム編成。守備面の不安は大きい。特に左翼からガードナー、エルズベリー、ベルトランの外野陣。38歳のベルトランは守備範囲が極端に狭い。ガードナー、エルズベリーは走力があり守備範囲は狭くはないが、肩が強い方ではない。今季は外野手の正面から少し横への打球が二塁打になり、二塁走者を置いた場面では正面へのヒットでも本塁生還を許すケースが多い。単打が二塁打になり、本来なら本塁突入をちゅうちょする打球が失点になる。投手にとってこの状況が続けば、自然と球数も増え、精神的負担も増す。田中の防御率3・38は、本来ならもう少し低くてもおかしくない。1点が大切になる短期決戦を考えれば、大きな不安要素だ。

 また、ワールドシリーズに進んだ場合、DH制のないナ・リーグ本拠での戦いも難しい。チームトップの32本塁打のロドリゲスはDH制のない試合ではベンチスタートが常。「彼はしっくりこないように見えるし。打撃が崩れるのが嫌だ」と指揮官は、キャンプで取り組んだ一塁起用はしない方針を口にした。新人一塁手のバードも守備面は不安。31本塁打のテシェイラが故障離脱した現状、一番の長距離砲が代打に回り、投手が打席に立つ打線は心もとない。ナ・リーグの本拠地はア・リーグの本拠地よりも広い球場が多く、不安な外野守備も含めて形勢は不利となる。

 田中が首位ブ軍打線を7回無失点に抑えた13日、ロドリゲスはこう言った。「きょうはわれわれがどういうチームか示した。先発が力強く投げ、強力なブルペンにつなぐ。そして、スタンドにボールを打ち込む」。現状、ヤ軍がしびれる短期決戦を勝ち進むには、ロドリゲスの言葉通りの試合を続けるしかないのである。(春川 英樹)

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2015年9月22日のニュース