マー君「情けない」1勝…大量援護もスプリット見逃され5回4失点

[ 2015年4月14日 05:30 ]

<ヤンキース・レッドソックス>3回、好守備を見せたヘドリーにグラブを突き出す田中

ア・リーグ ヤンキース14―4レッドソックス

(4月12日 ニューヨーク)
 ヤンキースの田中将大投手(26)が12日(日本時間13日)のレッドソックス戦に先発し、今季2度目の登板で初勝利を挙げた。5回4安打4失点(自責3)。味方の大量得点に助けられた苦しい白星で、開幕戦に続いて好結果を出せなかった。ただ、制球重視で打たせて取る新スタイルは曲げずに投球。見栄えがしなくても勝つ、メジャー2年目の決意を込めた1勝だった。次回は18日(同19日)のレイズ戦に先発予定で、連勝を狙う。

 午前0時を回ったロッカールーム。ボルティモアへの移動に向け、田中はそそくさとネクタイを締めスーツを羽織った。身支度を整える顔に反省の色ばかりが浮かんだ。

 「僕自身は仕事ができていない。大量点を最初にもらって楽な展開になったところをズルズル、何か締まらない試合にしてしまって情けない」

 初回に7点の援護を受けた主戦投手が5回降板。97球を投げ、午後8時5分開始だった試合の終了を遅くした。「相手が振りたくなるような球の動きをしていなかった」というスプリットを見逃されたことで苦しんだ。

 3点を与えた4回は、先頭のオルティスに落ちる変化を見極められて四球。続くラミレスの打席は、スプリットを2度暴投して走者を三塁に背負い、犠飛を浴びた。さらに一、二塁から併殺か、と思われたビクトリノの二ゴロをドルーが二塁悪送球して満塁となり、ボガーツに左翼線へ2点打された。この回だけで38球を要した。

 「情けない」と感じて当然の夜。開幕投手を務めた6日のブルージェイズ戦も4回5失点で、2戦続けて振るわない。その中で、ツーシームの割合は前回と同じ33%に上り、軸球の選択にブレはなかった。力感が少ないフォームも不変だった。

 タンパでの春季キャンプ中に田中は告白した。「今年はとにかく抑えればいい。150キロをドンドン投げる、これまでの僕を見ている人は物足りないかもしれないけど、そうします」。周囲から昨年痛めた右肘の影響を不安視する声が漏れ、米メディアに球速低下をこき下ろされても、1年トータルでの結果を求めて決めた新スタイルを貫く固い決意がある。メジャー1年目にイニング数を上回る三振を奪ってファンを熱狂させた力投派の看板を下ろす、いわば「脱田中」宣言。力勝負は「エゴでしかない」とまで言い切っていた。

 この試合150キロ超えは4回のオルティスへの最終球、その1球だけ。物足りないと騒ぐなら、騒げばいい。黙って1年の結果で示すまで――。「一気に完璧になるものではない」と変化の難しさも感じつつ、「少しずつ良くなってきている感覚はある」と口にした。スタイルは変わるものだ。楽天時代もスライダーからスプリットへと主武器を持ち替えた。大転換の過程で挙げた1勝目だった。

 ▼ヤンキース、ジョー・ジラルディ監督 きょうは直球のコントロールが良かった。スライダーとスプリットも開幕戦より良かったと思う。4回以外は良かったし、4回も(失策がなければ併殺打で1失点だけで)ほとんどチェンジだったからね。

 ▼楽天・則本 試合は途中から見ていました。でも、あの内容だったら、あの人は満足していないと思う。(自身は開幕から未勝利なので)こちらからも良い報告ができるようにしたい。

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