鳥谷　ド根性打率４割超え　膝に痛み抱えながらも弱音一切なし

＜巨・神＞３回１死二、三塁、鳥谷は右前に適時打を放つ

セ・リーグＣＳファイナルＳ第２戦 阪神５－２巨人

（10月16日 東京Ｄ）
　虎のキャプテンはどこまでも冷静だった。２―０の５回。直前の打者・上本が頭部死球を食らい、騒然とした東京ドーム。それでも阪神・鳥谷は、無死一、二塁の好機をいかにして得点につなげるか、ということしか考えていなかった。

　「（上本は）そのまま塁へ走って行ったのでね。ノーアウトだし、相手はバントなどいろいろ想定するケースですから」

　急きょ登板してきた２番手・久保が投じた初球を見逃さなかった。外角１３９キロの真っすぐは、ともすれば阪神ベンチの出方をうかがう１球だったのかもしれない。その１球を芯でとらえる、中前タイムリー。中押しの得点を生み出した。

　「真っすぐが多いピッチャーだし、どこかでは来ると思っていた」

　効果的な一打は３回にも放っていた。１点を先制し、なおも１死一、三塁。右前への適時打で２点目をたたき出した。

　「２戦とも先に点を取れている。そういう意味では３戦目も先に点を取って、いい流れに持ち込みたい」

　ＣＳファーストＳを突破した勢いは、覇者・巨人をのみ込みつつある。鳥谷自身もポストシーズン４試合で１４打数６安打、打率・４２９と大当たり。膝の痛みなど体調面は決して万全ではないが、「（シーズン終了後から）時間をもらって良い調整ができた」と弱音は一切吐かない。クールに映るこの男。実はチーム一のド根性男でもある。