ハッキング被害でイチ移籍話流出 開幕直前までトレード模索

[ 2014年7月2日 05:30 ]

<ヤンキース・レイズ>今や“ヤンキースの顔”的な存在となっているイチロー。試合の合間のこんなファンサービスも見られなくなっていたのかも!?

 ヤンキースのイチロー外野手(40)が、開幕前にアストロズへトレードされる可能性があったことが30日(日本時間1日)分かった。ア軍のデータベースが何者かによってハッキングされ、機密文書が流出。昨季途中からオフにかけてのトレード交渉の内幕が明るみになり、この中にイチローの名前もあった。被害に遭ったア軍は米連邦捜査局(FBI)に捜査協力を依頼。7月31日のトレード期限を前に、大リーグに激震が走った。

 前代未聞の事態に、アストロズはジェフ・ルノーGMが試合前に報道陣に対応。「不法な行為。我々は犯人を捜し出して訴える。情報を守るためにあらゆる手を尽くす」と語った。その表情は、焦燥感とともに怒りに満ちていた。球団は大リーグ機構やFBIの協力も仰ぎ、犯人特定と再発防止に乗り出した。

 チーム編成のデータベース「グラウンド・コントロール」に保存されていたメモが公開されたのは、ハッキングした情報やリークを匿名で投稿できるサイト。スポーツサイト「デッドスピン」が真っ先に報道すると、球団は他球団への謝罪などの対応に忙殺された。

 流出したのは移籍交渉に関する昨年6月から今年3月までのメモ。交渉人や交換要員の名前など交渉過程が生々しく記されていた。その最後が3月18日のメモで、イチローに関するものだった。

 「14年3月18日 (ヤンキースGM補佐の)ビリー・エプラーが、今でもイチローをトレードに出すつもりだと連絡してきた。彼らは(アストロズが負担する)イチローの年俸を200万ドル(約2億200万円)まで下げられると言っている」

 ヤ軍はオフに中堅手エルズベリー、右翼手ベルトランを獲得。年俸650万ドル(約6億5650万円)の7割近い450万ドル(約4億5450万円)を負担してまでイチローの放出を画策していた。結果的には、若手中心のア軍にベテランの加入はフィットせず、トレードは実現しなかった。

 他にもマーリンズで現在本塁打、打点でリーグトップのスタントンを若手2人との交換で獲得しようとした交渉なども漏えいした。ルノーGMは「正しい情報もあるが、正しくないものもある」と火消しに躍起。イチローは地元メディアの取材に応じ「今、そのことについて話すのは誰にとってもいいことではない」と通訳を介して答えた。

 昨季まで3年連続で地区最下位に低迷しているア軍は、毎年ドラフト上位指名権を得るため若手有望株の宝庫。トレードの打診が引く手あまたの球団だけに、今後の交渉にも影響を与えそうだ。

 ▽「グラウンド・コントロール」 アストロズが独自に開発したデータベース。11年11月に就任したルノーGMが、25ページに及ぶ文書をジム・クレーン・オーナーにプレゼンテーションして導入が決まった。マイナーを含めた全選手の成績、スカウティングリポートのほか、選手の契約情報、移籍交渉に関する情報などが一括管理され球団関係者はパスワードの入力だけで、どこにいても閲覧することが可能。独自のデータベースを構築している球団はほかにもありインディアンスの「ダイヤモンドビュー」などが有名。

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2014年7月2日のニュース