「攻撃型の捕手」梅野 田淵以来虎新人2打席連発で連敗止めた

[ 2014年7月2日 05:30 ]

<神・ヤ>2本塁打に笑顔の梅野

セ・リーグ 阪神12-6ヤクルト

(7月1日 倉敷)
 梅ではなく、松竹梅の「松」級の活躍。苦境の阪神を救ったのは新人捕手だった。梅野が自身初の1試合2本塁打で、チームの6連敗を阻止。09年からの倉敷マスカットスタジアムでの連勝を6に伸ばし、リーグ戦再開後初勝利をもたらした。

 「打線がつながるとベンチの雰囲気が良くなる。これでいいムードでいける」

 4試合連続の先制点を許した直後の初回に味方が逆転し、なお1死一塁。1ボールから2球目のシンカーを左翼席へ。この回7点の猛攻を完成させ「積極性だけを考えてた。久々の手応え。打った瞬間、いったかなと思った」と、5月6日の中日戦(ナゴヤドーム)以来の一発に胸を張った。

 4回には先頭で今度はシュートを狙って4号を放ち、一挙5点の起点に。3点差に迫られた直後に不安定な藤浪を石川からの2打席連続弾で援護した。「追い込まれてからはコンパクトに、力強く振ることだけを考えていた」と1本目とは異なる内容に満足げだった。

 福岡大からドラフト4位で入団し、開幕から1軍でプレーする。「捕手なんだから配球を考えて打て」と指導してきた関川打撃コーチは「次に何を待つべきか、何を打ってはいけないか、ということが分かってきている。特に2本目は狙い球を仕留められたのでは。これが攻撃型の捕手」と褒めた。阪神の新人での2打席連発は田淵幸一(本紙評論家)以来、実に45年ぶり。元祖「スラッガー捕手」に並び、「田淵さん以来ということに関して、光栄だなと感じます」と目尻を下げた。

 阪神は09年オフ以降、城島健司、藤井彰人、日高剛、鶴岡一成…。毎年のように他球団から捕手を獲得してきた。生え抜き捕手が育ちにくい土壌で、芽を出したのが梅野だった。「まだまだ勉強中。反省のない日はない」が口癖だが、その貪欲な姿勢は福岡大時代にさかのぼる。大学の野球部員といえば授業中は居眠りが相場の中で、「スポーツメディア論」の講座を聴講するときは教室の最前列を陣取っていた。この姿に、後輩の野球部員も徐々にならっていったという。

 「(3打席連発は)少しは頭にありました」。四球を選んだ3打席目について問われての梅野のひと言。若虎はこうあるべきだ。

 ◆梅野 隆太郎(うめの・りゅうたろう)1991年(平3)6月17日、福岡県生まれの23歳。福岡工大城東では甲子園出場なし。高校通算24本塁打。福岡大では1年秋から6季連続ベストナイン、4年春にはMVPを獲得した。4年夏の日米大学野球で日本代表の主将を務めた。13年ドラフト4位で阪神入団。1メートル73、80キロ。右投げ右打ち。

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