松井 制球難でも韓国斬り!国際大会洗礼も乗り越えた

[ 2013年9月6日 06:00 ]

<日本・韓国>韓国に対し力投する松井

第26回IBAF18Uワールドカップ2次ラウンド 日本10―0韓国

(9月5日 台中)
 松井が宿敵をぶっ倒した。2次ラウンドが始まり、A組1位の日本は10―0でB組3位の韓国に7回コールドゲーム勝ち。先発の松井裕樹投手(3年)は制球に苦しみながらも、最速148キロの直球で押し、6回を4安打無失点に抑えた。2次ラウンド進出の6チームは、1次ラウンドの当該対戦成績を持ち越すため、1次ラウンド全勝の日本はこの日の勝利で3勝0敗とし、6日のキューバ戦に勝てば決勝戦進出が確定。藤浪晋太郎(19=阪神)、大谷翔平(19=日本ハム)の両投手を擁しながら6位に終わった昨年の雪辱を果たす。

 松井の巧みな動きが宿敵を怒らせた。2回1死一塁。一塁走者をけん制アウトに仕留めた瞬間だった。韓国の鄭胤鎮(チョンユンジン)監督は「ボークだ」とベンチを飛び出し球審に猛抗議。判定が覆ることはなかったが、松井は「向こうがこの試合に懸けているのが伝わった。気持ちで負けてはいけないと思った」と闘志をかき立てた。直後に空振り三振を奪うと、雄叫びを上げながらベンチへ戻った。

 「調子は悪かったが、0失点でつなげて、気持ち良かった」。韓国プロ野球への入団が決まっている8人が名を連ねる打線を相手に、直球で押しまくった。初回は23球中、実に20球が直球。制球が定まらず、いきなり1死満塁のピンチを招いたが、連続三振で切り抜けた。西谷浩一監督は「米国と比べて振ってこないので、力で押す方がいい」と、昨夜に松井を宿舎の自室に呼び出し、この日の先発起用を伝えた。

 球場入りしてから捕手の森友とも「作戦会議」を重ねた。昨年の同大会で韓国には1勝1敗だったが、「藤浪さん(阪神)のスピード系のボールは捉えられていなかった」という女房役の見立てもあり、宿敵封じに最も有効な球種は「ストレート」との結論に達した。105球中直球は8割近い80球を数えた。1日の台湾戦では159球を投げ、直球は約64%の101球だっただけに、投球スタイルの違いは明白だった。「伝家の宝刀」のスライダーを減らしたことで、4回以外は走者を背負い、わずか6奪三振。チームの勝利を最優先した結果でもあった。

 国際大会ならではの「洗礼」も乗り越えた。当初、午後6時半開始の試合が午後0時半に急きょ繰り上げられた。開催国でもある台湾が集客やテレビ中継といった興行面から主催者側に強硬にナイター開催を主張。日本に試合時間の変更が正式に伝えられたのは前日深夜。松井ら選手にはこの日の朝にようやく報告された。

 さらに1次ラウンド同様、マウンドにも苦しめられた。「硬いマウンドで体重移動がうまくできなかった」と、軸足の左足に重心がうまく乗らず、三塁側に体が倒れる。フォームバランスが崩れることで明らかなボールが目立ち、5四死球。さらに「(1球1球)縫い目が違う気がする」という国際球にも戸惑い続け、球審にボールの交換を要求する場面が度々見られた。それでも、2回以降はリリースの瞬間に込める力を80%にし、徐々に制球も安定。「中盤以降は納得のいくボールがいったし、最後はいい感覚で終われたので次につながる」と言った。「次」とはもちろん、決勝のマウンド。「世界一」へ、また一歩近づいた。

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2013年9月6日のニュース