能見“家族愛”8勝目 沖縄から長男へ一足早い誕生日プレゼント

[ 2013年7月10日 07:49 ]

<神・中>6回2死一塁、能見はマートンの好プレーに笑顔を見せる

セ・リーグ 阪神6-2中日

(7月9日 沖縄セルラー)
 阪神のエース能見が7回2失点で8勝目を手にした。

 吹き抜ける南風を身にまとい、最後の気力を振り絞る。先発した阪神・能見が7回7安打2失点で8勝目を記録。阪神では史上初となる沖縄での公式戦に花を添える111球で、猛虎の歴史に新たな勲章を刻み込んで見せた。

 「(沖縄は)暑かったね。味方も先制してくれたのでね」

 最大のピンチは7回1死満塁。荒木の二ゴロの間の1点で耐え、3番・クラークは4球すべてフォークを投じて空振り三振に斬った。「(配球の意図は)藤井さんに聞いて」。ここぞの場面で、そう簡単には打たれない。

 やや低く、足場が柔らかいマウンド。蒸し暑い気候、球足が速くなる固い地面、極めつきは通常のナイターより1時間遅い午後7時という試合開始。何から何まで逆風。能見に味方したとは言いにくい。それでも勝つのがエース。今季8勝目は、12日に3回目の誕生日を迎える長男・凌成(りょうせい)君へ贈る一足早いバースデー星でもあった。

 「ゆっくり2時間くらいかけて食べます。嫁さんと子どもは30分くらいで終わってますけどね」

 虎の屋台骨を支える背番号14も、家の玄関を上がれば一家の大黒柱だ。妻・千江子さんの献身的な支えは、家事、育児、料理の細部に行き渡る。食卓には毎日5品以上のメニューが並び、3人の子どもたちが早々に食べ終える中、パパはたっぷり時間をかけて口に運ぶ。よく噛み、消化を最優先するためだ。食事も立派な練習。能見らしいこだわりはここにもある。

 「(家族には)感謝してますね」

 日頃胸に秘めていることは、マウンドで体現する。那覇まで駆けつけてくれた虎党へ、援護してくれた打線へ、そして最愛の家族へ捧げる白星だ。

 「思い切って投げるだけだった」

 5月12日の松山(対ヤクルト)、6月25日の富山(対中日)に続いて、今季の地方球場での試合は3連勝となった。そして次回は15日、甲子園での巨人戦初戦。首位追走へ、きっちりと弾みをつけた沖縄の夜だった。

 ▼阪神・中西投手コーチ(能見について)ボールが先行していた。でもチェンジアップとフォークが良かった。7回での交代は(15日の)巨人戦を見据えて。

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2013年7月10日のニュース