坂本 川上哲治以来63年ぶり山形弾 原監督「久しぶりに根性を見た」

[ 2013年7月10日 06:00 ]

<巨・ヤ>7回2死二塁、左越え2ランを放った巨人・坂本の左上腕にカナブンが止まる

セ・リーグ 巨人6-3ヤクルト

(7月9日 荘日ス)
 低めを振り抜いたバットが、最後は左手一本で高々と掲げられた。時を超えて山形の夜空に描かれた巨人・坂本の放物線。7回、左中間席に消えた勝ち越しの9号2ランは、63年前に川上が放って以来の巨人選手の山形での一発になった。

 「しっかり芯で捉えられたので入ったと思う。偉大な先輩の次に打てたことはうれしく思います。何とか勝ち越したかった。ああいう場面で打ててよかった」

 負けず嫌いの心が歴史的一発を呼んだ。1点リードの7回。守りで先頭・畠山の遊ゴロをトンネルした。今季9失策中、菅野の登板時には7失策を犯している。この失策をきっかけに同点に追いつかれ、直後の攻撃では菅野に代打・亀井が送られた。「智之の時はいつもエラーしている。足を引っ張ってしまったので悔しい気持ちがあった」。亀井の右前打などで2死二塁。左腕・久古の1ボール2ストライクから内角低めのボール気味の135キロ直球を、右腕をたたみながらすくい上げた。原監督も「久しぶりに根性を見た。技術というのも大事だけれど、それと違ったものが大事なんだというのがまた分かったと思う」と坂本の折れない心を称えた。

 歴史的ゲームを歴史的一発で決めた。54年8月7日の洋松ロビンズ戦以来、59年ぶりの山形での巨人戦開催。東北の夏の夜空らしく、グラウンドには大量の虫も集まっていた。そんな中、坂本の決勝弾は50年4月25日の国鉄戦で打撃の神様・川上が放って以来、球団史上2本目の山形での本塁打となった。

 坂本にとって山形は原点を思い出す地だった。「プロ1年目に何度も来た。ファームでね。覚えていますよ」。07年にイースタン・リーグ楽天戦などで訪れた球場。小学生時代にチームメートだった楽天・田中は開幕からローテーションを守っていたが、坂本が戦ったのは楽天の2軍。当時の背番号は61だった。「格好いいところと格好悪いところを見せられた」と山形のファンの前で照れ笑いを浮かべた。

 勝負強い3番打者の活躍でチームは今季最多の貯金19。59年前に続いて山形で白星を飾った。「東北のファンの皆さんの声援も力になる」。青森・光星学院で高校時代を過ごした坂本が、同じ東北で記憶に残る一発を放った。

 ≪地方球場で6勝1敗≫巨人は59年ぶりとなる山形での試合に勝利。今季の巨人は地方球場で強く新潟2勝、静岡1勝1敗、岐阜1勝、前橋1勝と合わせ、これで6勝1敗だ。7回には坂本が勝ち越しの9号2ランを放てば、続く阿部が21号ソロ。2人のアベック弾は今季2度目、通算では21度目だが連続アーチは昨季8月21日ヤクルト戦でマークして以来2度目になる。2人が同じ試合に本塁打するとチームは17勝3敗1分け(勝率・850)、主催試合に限ると12勝1敗(・923)と勝率がさらに跳ね上がる。

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