古田氏、由規に最多勝指令!新球のコツも伝授

[ 2011年2月10日 06:00 ]

古田氏(右)がキャンプを訪問し、由規と言葉を交わす

 ヤクルトの黄金期を築いた古田敦也氏(45=野球評論家)が9日、古巣の浦添キャンプを訪問し、4年目の由規投手(21)に最多勝指令を出した。習得を目指すツーシームのコツを伝授。由規はフリー打撃登板で早速、実践した。07年の高校生ドラフトで5球団の競合の末に交渉権を引き当てた当時の監督でもあり、タイトル獲得のために「15勝」をノルマに課した。

 スーツ姿の名捕手に由規が駆け寄ってきた。ロッカールームへの階段を下りようとしたところで、通路にいた古田氏を発見。思わず方向転換した。2分ほど話し込むと、元指揮官は別れ際にタイトル獲得を指令した。

「最多勝、目指せよ」

「はい、頑張ります」

 練習に戻る右腕を見送った古田氏は「最多勝争いをしてほしい。もう1ランク上に行くためには、新しい球種を覚えるのが早い」と指摘した。

 それがツーシームだ。由規の武器は、昨夏に日本人投手最速161キロをマークした剛速球と切れのいいスライダー。昨季は12勝9敗、防御率3・60と自己最高の成績を挙げたが、さらなる飛躍を目指して新球の習得に着手している。シュート系のツーシームはスライダーとは逆の変化となる。右打者の内角に食い込む球を手にすれば、宝刀スライダーはより威力を発揮するからだ。

 小声で話し込んだ2分間。古田氏は由規にツーシームを習得する上でのコツを伝えた。

 「最初はコントロールをつけるのに時間がかかる。抜けて死球になりやすいから、インハイを狙うと右打者の顔のあたりに行く。当たると若い投手は投げにくくなるので、まずは曲げようと思わずに低めを狙え」。

 そのアドバイスを胸に由規はフリー打撃に初登板。ツーシームを1打者あたり2、3球交えつつ、左打者3人に59球を投げて安打性の当たりを9本にとどめた。「前は高めに抜けたり体の開きが早かったりしたが、古田さんに言われた感覚を大事に投げた」と効果を口にする。対戦した川端は「あれは左打者にも有効。引っかけてしまうのでゴロが多くなる」と新球の威力を感じ取った。

 古田氏は「川崎(憲次郎)も低めを狙うことでシュートを克服した。会得すれば15勝に近づけるし、最多勝争いができる」と話した。07年高校生ドラフトで運命のクジを引き当ててから4年。思い入れのある金の卵へ「フルタの方程式」を授けた。

 ≪新旧監督3人そろい踏み≫古田氏が小川監督にエールを送った。入団した90年から2年間現役生活をともにし、06、07年の監督時代は2軍監督で支えてもらった良き先輩だ。「現役時代は控えに回られても、われわれに気を使っていただいた。感謝する先輩の一人。選手たちも、こういう監督を胴上げしたいと思っているでしょう」。臨時打撃コーチを務める若松勉氏(野球評論家)とも再会を果たし、新旧監督3人がそろい踏みとなった。

 <古田氏の主なキャンプ地訪問>
 ☆岸のカーブを絶賛 09年2月11日、西武の南郷キャンプのブルペンで岸の球を受ける。「今までいろんな投手の球を受けたけど岸が一番いい。一級品だね」。下がり気味だった右肘の位置もアドバイスした。
 ☆ノムさんから就任要請 09年2月13日には楽天の久米島キャンプを訪問。野村監督(当時)から「俺の後、狙っているらしいな。いいじゃない、次やれば」と切り出され「はっきり否定します」と苦笑い。ブルペンでは一場、田中の投球を受け、捕手陣にも約40分間指導した。
 ☆若手を激励 09年2月14日に、07年のヤクルト退団後、初めて古巣を訪問。増渕や由規らを「前向きに考えていけ」と激励した。
 ☆極意を伝授 昨年2月6日、ヤクルトの浦添キャンプで19歳・中村を高評価。捕球時の構え方やステップなどを個別指導し、打撃のコツもアドバイスした。
 

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