興南 島袋、魂の157球19Kも延長で悪夢

[ 2009年3月27日 06:00 ]

<興南・富山商>打者に背番号が見えるほど体をひねる「トルネード投法」で富山商打線相手に好投を見せた興南・島袋

 第81回選抜高校野球大会第5日は26日、甲子園球場で1回戦3試合が行われ、第1試合は興南(沖縄)のエース島袋洋奨投手(2年)が19奪三振の力投を見せたが、延長10回に痛恨の2失点。富山商(富山)に敗れ、初戦で姿を消した。第3試合では習志野(千葉)が9回に高橋慧志郎内野手(3年)のサヨナラ打で彦根東(滋賀)を5―4で下し、33年ぶりのセンバツ勝利。早実(東京)とともに2回戦に駒を進めた。

【試合結果


 気迫で157球を投げきった。毎回の19三振を先発全員から奪った。それでも勝てなかった。「三振は意識していない。収穫はあまりない」。興南の左腕エース・島袋は悔しさをにじませた。
 右足を上げ、打者に背中を向ける「トルネード投法」で立ち上がりから5者連続三振。切れ味鋭いスライダーに加え、直球も自己最速の142キロを計測し、5回無死から6者連続三振と飛ばした。しかし、最後に悪夢が待ち構えていた。両軍無得点の延長10回2死二塁から、横田の投ゴロをグラブに収めながら捕り損なってしまう。二、三塁とピンチは広がり、それまで2三振に牛耳っていた馬渕に中前打を浴びた。「キャッチャーは外に構えていたのに、直球が甘く入ってしまった」。打線の援護にも最後まで恵まれなかった。
 とはいえ島袋はまだ2年生だ。悲運のエースと呼ばれるには早すぎる。我喜屋監督も「大舞台で予想以上に力を出してくれた」と奮投をねぎらった。昨夏の沖縄大会は1―3で沖縄尚学に敗れたが、センバツV腕・東浜(亜大)と互角に投げ合った。「1球の怖さがあった。改善して夏に帰ってきたい」。伸び盛りの左腕には、敗戦を糧にしながら雪辱のチャンスがいくつも残されている。

 ◆島袋 洋奨(しまぶくろ・ようすけ)1992年(平4)10月24日、沖縄県宜野湾市生まれの16歳。志真志小2年時に志真志ドラゴンズで野球を始める。嘉数中から興南に進み1年夏からベンチ入り。球種はカーブ、スライダー、ツーシーム。好きな投手はヤクルト石川。1メートル71、62キロ。左投げ左打ち。

 ≪富山商 9番馬渕“ヒーロー”V打≫9番の一打が富山商に39年ぶりのセンバツ勝利をもたらした。延長10回二死二、三塁。そこまで2三振を喫していた馬渕は開き直って直球に的を絞った。「変化球が見えにくかったので直球を狙っていた。ヒーローになったのは初めて」。打線は毎回の計19三振も、エース村上勇が90キロ台のスローカーブを駆使して散発4安打の完封勝利。「ウチは1番から3番までしか点が取れないのに。最後だけ当たった感じ」。沢田監督は伏兵の一撃に感謝しきりだった。

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2009年3月27日のニュース