レスリング東京金・須崎優衣 まさかの1回戦負け…残り9秒“パリの悪夢”連覇ならず涙、涙「申し訳ない」

[ 2024年8月6日 18:33 ]

パリ五輪12日目 レスリング ( 2024年8月6日    シャンドマルス・アリーナ )

<パリ五輪・レスリング女子50キロ級1回戦>1回戦敗退の須崎(撮影・岡田 丈靖)
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 女子50キロ級で五輪連覇を狙う須崎優衣(25=キッツ)は6日、1回戦でビネシュ・ビネシュ(インド)にまさかの敗戦。連覇を目指して立ったパリのマットで、悪夢の1回戦負けとなった。

 序盤から少し硬かった。鉄壁の防御で相手の攻撃は防いだが、なかなかポイントが積み上がらない。2―0とリードして、勝利まで残り9秒。まさかの状況に会場が騒然となった。最後の最後に相手の捨て身のタックルを受け背中を取られ同点に追いつかれ試合終了。2―2もラストポイントで須崎が敗れた。すぐにチャレンジを要求も、判定の末に却下され敗戦が決まった。日本人選手以外に初黒星。パリの悪夢に須崎は唇をかみ締め引き揚げた。

 マットを下りた須崎は、涙を堪えきれなかった。「3年間、東京五輪前より多くの方に支えてきてもらったので、皆さんの努力を裏切って申し訳ない。相手の戦術にうまくはまってしまった。(タックルに)行ききれなかったから負けた。まだ(頭の中が)整理ができていない。今の私はオリンピックチャンピオンになる器じゃなかった。何が足りなかったのか…見つめ直してまたいつかチャンピオンになりたい。(メンタル面は)特に問題なかった。負けパターンにはまってしまった。プレッシャーは感じていなかった。マット上では現実なのか分からなかった」

 女子代表6選手では唯一の東京五輪代表で最年長の25歳が、1回戦で金メダルの道が途絶えた。18年アジア大会50キロ級でインド女子初のチャンピオンに輝いた伏兵に、まさかまさかの敗戦。呆然と立ち尽くすしかなかった。敗退か、意地の銅メダル挑戦の道か、敗者復活を待つ。

 五輪前最後の大会となった4月のアジア選手権(キルギス・ビシケク)は準決勝こそテクニカルスペリオリティー勝ちを収めたものの、北朝鮮選手との初戦、中国選手との決勝は失点するなど、思わぬ苦戦を強いられた。五輪4連覇が最終目標の須崎だが、改めて容易な目標ではないことを思い知ることになった大会。「五輪でも、そういう戦略を立ててくる選手が多くなる。研究し、どんなタイプにも勝って、自分のスタイルを貫けるように。金メダルを獲るためだけに生きたい」と意気込んでいた五輪女王の連覇の夢は、はかなく散った。

 ◇須崎 優衣(すさき・ゆい)1999年(平11)6月30日生まれ、千葉県出身の25歳。東京・安部学院高、早大を経て、22年4月からキッツ所属。早大レスリング部OBの父・康弘さんがコーチを務めていた松戸ジュニアクラブで7歳から開始。高3だった17年の世界選手権で02年の伊調馨以来となる高校生Vを達成。21年東京五輪金メダル。22年にはU23世界選手権も制し、カデ、ジュニア、シニア世界選手権と五輪を合わせた主要5大会を制すグランドスラムを男女通じて世界で初めて達成した。外国勢には14年から無敗を続ける。

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