【元横綱稀勢の里コラム】友風、大の里、高橋をはじめ、それぞれに感じた成長と課題

[ 2023年12月6日 07:00 ]

大の里(右)に胸を出す二所ノ関親方
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 早いもので2023年も残り1カ月を切りました。相撲界もいろいろあった1年。九州場所が終わりましたので、今年の二所ノ関部屋を総括します。

 おかげさまで友風、大の里、高橋の3人が関取に昇進しました。それぞれについて触れてみます。

 【友風】 正直、ここまで活躍してくれるとは思っていませんでした。初場所はまだ幕下でした。そこから十両昇進を決めると4連続勝ち越しで九州場所では幕内に復帰。大したものです。大ケガから復帰後、一時は少し悩んでいるようにも見受けられましたが、支えてくれた周囲への恩返しの気持ちが結果になりました。徐々に本来の圧力を生かした相撲も戻ってきていますが、これからが本当の勝負。消極的なはたきがケガにつながることは本人も分かっているでしょう。常に前への意識を心がけることです。

 【大の里】 5月場所で初土俵を踏んで4場所経験。来年初場所での新入幕も期待されています。アマチュア時代の実績からも常に注目される毎日。そんな中で幕下は2場所で通過。十両は2場所とも12勝で千秋楽で優勝争いに加わりました。成績面に関しては十分合格点です。ただし期待も大きいから厳しいことを言わせてもらえば、相撲はまだまだですね。土俵際の甘さとか、立ち合いなど課題も少なくありません。

 場所前の稽古などでは私もまわしを締めて大の里とマンツーマンで立ち合いの確認もしました。とにかく立ち合いの強化。そこに尽きます。幕内に上がればこれまで以上に相手の当たりも厳しくなります。自身の大きな体格を生かすも殺すも立ち合い次第です。

 【高橋】 初土俵から負け越しなしの9場所連続で勝ち越し。十両でも安定した成績を残せるようになりました。自分の形を持っている強さはありますが、それを生かし切れないことも散見されます。立ち合いで変わりながら上手を取りにいったり、いつもと違った相撲を取ってしまうのは自分を信じ切っていない証拠。もっと自信を持ってほしい気もしています。

 部屋としては序二段以下の底上げがもうひとつできなかった反省はありますが、幕下の嘉陽、宮城、花房らが力をつけてきました。幕下が元気だと部屋も勢いがつきます。初場所から新弟子もデビューする予定で、阿見町の部屋も増築をしました。来年も角界に話題を多く提供できるよう弟子ともども精進していく所存です。 (元横綱・稀勢の里)

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