女子マラソンでパリ切符 鈴木優花のポテンシャル 大東大で磨かれた

[ 2023年10月25日 07:00 ]

MGC女子を制しパリ五輪代表を決めた鈴木優花
Photo By スポニチ

 【オリンピアンロードの歩き方】五輪を目指すアスリートや関係者を取り上げるコラムの今回は、パリ五輪マラソン代表に決まった鈴木優花(24=第一生命グループ)。雨の中で開催されたマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)を制し、大舞台への切符をつかんだ。その才能にほれ込んだ大東大・外園隆監督(68)に話を聞いた。

 3度目のマラソン挑戦でMGCを制した鈴木を、レース後に追いかけた。大会前から注目されていた存在ではなかったこともあり、把握しているプロフィルの情報も少ない。会見後に本人の元へ向かい、直接取材。生まれ、キャリア、転機…。一つ一つ丁寧に答えてくれる24歳に「大東大に入ったきっかけは?」と聞くと、恩師の名前を挙げた。

 「大学には進みたいと思っていた。そうしたら、外園監督が最初の方に声をかけてくれて。わざわざ(秋田の)高校まで来てくださったり、その熱に押されて大東大に進みました」

 中長距離ランナーとして大東大で頭角を現した鈴木だけに、外園監督との出会いは大きかった。一方、外園監督にとっても鈴木は是が非でも勧誘したい選手だった。レースに足を運ぶたび、その走りに驚かされたという。

 「ポテンシャルがすごかったし、彼女は1人で走れて、どんどん(ほかの選手を)置いていける。いくつも試合を見に行って、毎回“コイツだ!”と心をつかまれたんです」

 積極的に仕掛けて、駅伝などでもどんどん前を追っていく。入学後は体づくりやフォーム改善にも取り組み、大東大で「ケンカ走法」と呼ばれるスタイルに磨きがかかっていった。初マラソンとなったのが、卒業前に臨んだ22年3月の名古屋ウィメンズ。本格的にマラソン練習を始めてわずか1カ月で、学生新記録の2時間25分2秒をマークした。

 「彼女は“マラソンで五輪に出たい”と夢を持っていたと思うし、大学4年間でやれることをやろうと。でも“ここから先は専門的な指導を受けないとパリには行けないよ”ということも伝えていました」

 複数の誘いを受けた中で、バルセロナ五輪マラソン4位で数々の名選手を育てた山下佐知子監督のいる第一生命グループへ。より細やかな教えを受けて力を伸ばした。

 「指導者として、うまくタスキを渡せたんじゃないかと。“とにかく私が山下監督に感謝している”と書いておいてください」
 取材時、そう言って笑った外園監督。多くの人の支えがあって、鈴木は五輪への道を切り開いた。(五輪担当・西海 康平)

 ◇鈴木 優花(すずき・ゆうか)1999年(平11)9月14日生まれ、秋田県大仙市出身の24歳。中仙中ではバスケットボール部に所属しながら陸上の大会にも出場し、大曲高から陸上に専念。大東大では全日本大学女子駅伝で1年から3年連続で区間賞を獲得。19年ユニバーシアード夏季大会のハーフマラソンで金メダルを獲得。1メートル61。

続きを表示

「羽生結弦」特集記事

「テニス」特集記事

スポーツの2023年10月25日のニュース