イ・ボミ 日本の全ての応援に感謝 今大会で日本ツアー引退…プレーで応えたい

[ 2023年10月17日 05:00 ]

インタビューで笑顔を見せるイ・ボミ(撮影・会津 智海)
Photo By スポニチ

 秋のビッグトーナメント「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」(賞金総額2億円)は19日から4日間、兵庫県のマスターズゴルフ倶楽部で開催される。今大会で日本ツアーを引退する15、16年賞金女王のイ・ボミ(35=延田グループ)が16日までにスポニチ本紙の単独取材に応じ、日本ツアーでの13年間を振り返った。ホステスプロとして最後の戦いとなる「特別な大会」への思いを明かした。(取材・構成 内藤 博也、中村 文香)

 日本ゴルフ界で愛された「スマイル・キャンディ」が引退する。ツアー通算21勝で2度の賞金女王に輝いた実力に加え、ファンからも絶大な人気を誇ったイ・ボミ。ラストゲームを前にした率直な心境を明かした。

 「ゴルフが良い状態だったら凄い楽しみだったと思うんですけど、正直心配もあります。ただ、試合をしているとやっぱり楽しい。一打一打、貴重な時間を過ごすんだろうな」

 10年に韓国ツアーで賞金女王を獲得した。当時からスマイル・キャンディの愛称で人気選手。米ツアーという選択肢もある中で、11年から日本ツアー参戦を選んだ。

 「その愛称の意味は大好きだけど、私とのマッチングがちょっと恥ずかしい(笑い)。韓国で賞金女王になってメジャーに行ったんですけど、大きな選手の中で練習をして、時差ぼけもあるし、悩んでいた。そしたらお母さんが“日本はどう?”と。テレビ中継を見て、すぐに行きたい気持ちになりました」

 15年に7勝、16年に5勝を挙げて2年連続の賞金女王に輝いた。14年9月に亡くなった父・ソクジュさんへの思い、家族への感謝が原動力だった。

 「14年にお父さんが亡くなって、その年に頑張りたい気持ちが強かった。亡くなった後は、サポートしてくれた家族のために頑張りたかった。そのおかげだと思います」

 一番思い出に残っている試合は、3位だった15年のこの大会だ。

 「この試合の時はコースに泊まる。化粧をしようと思っていたけど緊張して忘れて。アイメークができていなくて、15番のトイレに行って、えっ!って。カレンダーの写真も撮るから大事だったのに(笑い)。優勝もできなかったし、その時のことは忘れないです」

 19年には人生の転機も訪れた。俳優のイワンと結婚した。

 「結婚は流れるように。優しい人。考え方がポジティブだし、つらいときも夫と話をすることで向き合うことができるんです」

 17年8月のCATレディースで通算21勝目。そして、今年2月に今季限りでの日本ツアー引退を発表した。

 「コロナの時から成績も出せず、スイングも直らない。トレーニングにも集中できなくてしんどかった。努力している人たちが戦う場所で、努力をしていない人がどうやって上にいくのと。だから引退しないとって思いながらも、やっぱりちょっと心惜しくて。それで今年になりました」

 ラストシーズンとして戦った今季はここまで7試合プレーした。

 「ファンの方のことを考えたら、全ての試合が感動的でした。体をつくれて、モチベーションを維持できたらどれだけ良かったか。同世代で戦えている上田桃子さんや申ジエさんがうらやましい。15、16年に全部使い切っちゃったのかな。そこを理解していただけるとありがたいです」

 日本ツアーでのラスト1試合。最も勝ちたいと願い続けた、特別な大会を迎える。

 「本当は上手な姿を見てほしい。そのために練習しているけど、体が思うように動かない。正直、1番はティーショットできるかなというくらい怖い。涙が出たらどうしよう。今までいただいた応援に感謝とプレーで応えたいと思っています」

 ◇イ・ボミ 1988年8月21日生まれ、韓国京畿道出身の35歳。両親の勧めで12歳からゴルフを始める。07年プロ転向し、10年に韓国ツアーで賞金女王。11年から日本ツアーに主戦場を移し、12年ヨコハマタイヤPRGRレディースで同ツアー初優勝。15、16年に2年連続で賞金女王に輝いた。日本通算21勝(うちメジャー2勝)。今季はここまで7試合に出場。1メートル58、56キロ。血液型A。

続きを表示

「羽生結弦」特集記事

「テニス」特集記事

2023年10月17日のニュース