【レスリング】谷津嘉章が義足を外して健常者相手に奮闘「啓発活動が目的」夢はパラ競技採用

[ 2023年7月1日 15:18 ]

義足を外して出場し、健常者を相手に奮闘した谷津嘉章(右)=撮影・前川 晋作
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 全日本社会人レスリング選手権大会が1日、埼玉県富士見市の市民総合体育館で開幕し、大会第1日は男子フリースタイルの全10階級が行われた。125キロ級には、右膝から下を切断した谷津嘉章(66=日本障がい者レスリング連盟)が義足を外して出場。健常者を相手に奮闘した。

 谷津は1976年モントリオール五輪90キロ級8位、全日本選手権で6度優勝などの実績を持つ。その後はプロレスでも活躍したが、19年6月に糖尿病の影響で右膝から下を切断した。今年3月に自身が設立した「日本障がい者レスリング連盟」所属で、37年ぶりとなるレスリングの公式戦に出場した。

 松葉杖をついたままマットに上がり、試合開始の合図と同時に四つん這いの状態に。試合開始早々にテイクダウンを奪われると、何度もバックを取られて防戦一方、2分19秒で10―0のテクニカルフォールで敗れた。同じ日本障がい者レスリング連盟所属で健常者の剱持洋祐(44)に初戦で敗れ「一矢報いて勝ちたかったけど、これが現実」と受け止めた。

 障害を持つ66歳が健常者の大会に初挑戦。「本来なら常識を逸している」と笑っていたが、今大会の出場は「連盟の啓発活動が目的」という。「一つの手本になれればいい。自分がやることで何かメッセージが残せればOKかな」。障害を持つレスリング競技者は他におらず「練習も試合も健常者とやるしかない」というのが現状だ。パラリンピックの種目に柔道(視覚障害)はあるが、同じ格闘技のレスリングはない。パラリンピックの種目採用、そして自身が「障がい者レスリング」に出場することを大きな夢として掲げた。

 まずは障がい者レスリングを多くの人に知ってもらうことが優先。そして「障がい者ならではの技とか研究する余地はある」とその先も見据えている。「まだまだやることがたくさん。逆に、楽しむこともたくさん」と前向きだ。10月の全国社会人オープン選手権にも出場予定で「次は勝つぞという気持ちでリベンジしたい」と意気込んだ。「目標を持たないと自分が何をやっているか分からなくなる」と語る不屈の66歳。この日の試合には敗れたが、大きな夢への確かな一歩を踏み出した。

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