ウルフ復活V パリ五輪へ逆襲 「このままだと面白い人で終わるところだった」

[ 2023年4月3日 04:22 ]

柔道全日本選抜体重別選手権最終日 男子100キロ級決勝   〇ウルフ 優勢4分56秒(延長) グリーン● ( 2023年4月2日    福岡国際センター )

男子100キロ級決勝でビデオ判定の末に技ありが認められて優勝が決まり、両手でガッツポーズするウルフ・アロン
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 男女計7階級が行われ、男子100キロ級で東京五輪金メダルのウルフ・アロン(27=パーク24)が6年ぶり3度目の優勝を飾った。五輪後はメディア出演で多忙を極め、昨年10月末の講道館杯で復帰後は3大会優勝なしだったが、所属移籍直後の4大会目でようやく復活。24年パリ五輪での2連覇へ道をつないだ。同90キロ級は5月の世界選手権(ドーハ)団体戦代表の田嶋剛希(25=パーク24)が初優勝を飾った。

 講道館杯は3位、12月の国際大会は2大会連続で初戦敗退。後のないウルフが土俵際で意地を見せ優勝。インタビューではひょうきんキャラクターを前面に出し「このままだとちょっと面白い人で終わるところだった。(不振の原因は)テレビに出すぎた」と語り、場内の笑いを誘った。

 東京五輪で担当コーチだった男子日本代表の鈴木桂治監督が「良かったところは、あまりない」と指摘したように、初戦からヒヤヒヤの連続だった。準決勝は開始直後に全身がつり窮地に追い込まれたが、ワンチャンスをものにして勝利。決勝も苦しい内容ながら、最後は得意の大内刈りで技ありを奪い「五輪の時の自分より弱い。7・5割くらい」と自己評価も厳しかった。

 五輪後はバラ色の時間を過ごしたが、代償はあまりに大きかった。年明けからは「同じことをやっていても差がつかない」と毎日の稽古後にサーキットトレーニングを敢行。メディア出演も自粛して柔道と向き合い、本来の闘争心も復活。鈴木監督も「気持ちを見せてくれたのが一番うれしい」と評価した。

 パリ五輪まで残り1年4カ月。現状では5月の世界選手権(ドーハ)代表の飯田健太郎を追う立場だが、反攻の準備は整った。「2連覇を目指せる誇りを胸に準備したい」とウルフ。ただし今夜だけは「(断っていた)酒を飲みたい」と笑った。

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2023年4月3日のニュース