稀勢 何かをつかんだ白鵬との稽古、変わってきた「心技体」の「心」

[ 2018年7月4日 10:40 ]

宮城野部屋朝稽古のぶつかり稽古で白鵬に転がされる稀勢の里=手前(撮影・斎藤 純)
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 横綱・稀勢の里が2日に、出稽古先の九重部屋で横綱・白鵬と稽古を行った。2勝8敗と圧倒されながらも、稀勢の里は「目覚めた感じがした」と語った。その言葉の真意は定かではない。だが、何かをつかんだのは間違いないはずだ。

 稀勢の里は初優勝を飾った昨年初場所後に横綱に昇進し、新横綱場所は左大胸筋などを負傷しながら連覇を果たした。ただし、強行出場した代償は大きかった。場所前に弟弟子の高安との稽古で調子を上げたように見えても、二所ノ関一門連合稽古や横綱審議委員会稽古総見で不安を露呈した。それを毎場所のように繰り返し、7場所連続休場。そこから脱却するためには、何かを変える必要があった。横綱昇進後はほとんどなかった出稽古に踏み切ったことに、「心技体」の「心」が変わってきたことが感じ取れる。

 稀勢の里―白鵬は、ファンが最も期待する取組だ。だが、稀勢の里が大関だった昨年初場所千秋楽を最後に、その取組は実現していない。それどころか、稀勢の里が横綱昇進後、本場所で横綱と闘ったのは、昨年春場所13日目の日馬富士戦、14日目の鶴竜戦の2番だけ。いずれも黒星を喫している。横綱同士の対戦で一度も勝てないまま引退することになれば、15日制となった1949年夏場所以降に誕生した横綱では初めての屈辱となる。

 稀勢の里との稽古を終えた後、白鵬は「稀勢関は横綱として千秋楽まで取り切った経験が少ない。何とかこの危機を乗り越えてもらいたい」とエールを送っている。第一人者の思いに応えられるためには、「技」と「体」を鍛え続けていくしかない。3横綱の中では最も若い32歳。稀勢の里にはもっともっと、もがいてもらいたい。(佐藤 博之)

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