小野塚彩那、涙の金 ソチ銅メダリスト祖父の命日に…日本初快挙

[ 2017年3月20日 05:30 ]

女子ハーフパイプで優勝し、涙を見せる小野塚彩那=シエラネバダ
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 フリースタイルスキーの世界選手権は18日、スペインのシエラネバダで行われ、ハーフパイプ(HP)の女子決勝で14年ソチ冬季五輪銅メダルの小野塚彩那(28=石打丸山ク)が、この種目では男女を通じて日本勢初の金メダルを獲得した。小野塚は16日の予選を2位で突破し、上位6人による決勝2回目で89・80点をマーク。演技構成の変更が奏功し、今季からの決め技「900(2回転半)」も成功させるなど、高さと安定感を両立させた滑りで頂点に立った。

 ハーフパイプは技の回数や難度だけを競うものではない。重要なのは個性と完成度。「最後までしっかり高さを出して終われたのは評価したい」と言う小野塚にとって、前日の決断が金メダルへのラストピースだった。今季W杯では未勝利に終わり、総合3連覇を逃した。シーズン最終戦となる今大会の決勝前日、日本チームの津田健太朗コーチから技を1回減らす提案を受けた。従来の6回では終盤に疲れも出てスピードが落ちジャンプが低くなる傾向があったからだ。

 「高さをキープして勝負する」。確固たる決意のもと、今季初めての5回の構成で挑んだ。冒頭に900を繰り出し、そこからも躍動感を失わなかった。4つ目のジャンプは後ろ向きに滑りながらの1回転半。課題でもあった後ろ向きでスピードを殺さず、パイプの端から十分な高さまで飛び出して技を決めた。高さを稼げた分だけ、他のジャンプでは加点対象のグラブ(ジャンプ中に板をつかむこと)も入った。

 小野塚は「最後の最後に優勝できて、すがすがしい気持ち」と涙を流した。この日は12年に亡くなった祖父・勝利さんの命日。金メダルはスキーの手ほどきをしてくれた祖父への最高の贈り物にもなった。競技初採用だったソチ五輪で銅メダルに輝いた第一人者。「この時点で来季はもう始まっている」と世界女王として2度目の五輪を迎える。

 ◆小野塚 彩那(おのづか・あやな)1988年(昭63)3月23日、新潟県南魚沼市(旧塩沢町)生まれの28歳。父・史朗さんがジャンプの国体出場経験者で、2歳からスキーを始める。湯沢高、専大とアルペンに取り組み、全日本技術選手権では総合2位3回。11年春からハーフパイプに専念。13年世界選手権、14年ソチ五輪銅メダル。W杯2勝、14〜15年シーズンから総合2連覇。1メートル58、50キロ。

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