琴奨菊跳んだ!4連勝 場所後に挙式、日本出身力士Vで花添えたい

[ 2016年1月14日 05:30 ]

安美錦(左)を押し出しで破り無敗をキープした琴奨菊

大相撲初場所4日目

(1月13日 両国国技館)
 大関最古参の琴奨菊が安美錦を押し出して無傷の4連勝とした。場所後に挙式を控える31歳が復活の手応えをつかみ、10年ぶりの国産力士優勝を目指す。横綱・白鵬は宝富士を圧倒して同じく4連勝。平幕の隠岐の海、高安も全勝を守った。

 気迫のダイブで琴奨菊が難敵を下した。前日に金星を挙げていた安美錦との対戦は、左張り手が相手の右腕にぶつかって不発。それでも右で抱えながら圧力をかけて「引き足が見えた」。相手の肩すかしに乗じ、一気に土俵外へ押し出した。

 最後は勢い余って右足が流れ、前のめりに跳んだ。この際に右足甲が土俵に着いたタイミングは安美錦が土俵外に飛び出すよりも早かったようにも見える微妙なもの。安美錦は物言いを気にして土俵下の審判員へ視線を巡らせたほど。琴奨菊は「相撲は勝っている。自分のやることはやった。勝ち負けはどうでもよかった」と覚悟を決め、結局物言いはつかず。「最後にひと押しできて軍配が上がったかな」。運も味方につけての4連勝で気分が悪いはずがない。

 立ち合いは大横綱・双葉山が極めたという「後の先」を意識した。遅れて立つように見せ、自分の体勢に持ち込む奥義。朝稽古は左右で張るように相手の眼前に手をかざす動きを何度も確認した。初日の稀勢の里戦での変化をはじめ引き出しの多い難敵に、立ち合いで踏み込みすぎずに柔軟な対応を心がけていた。

 今月30日に32歳となる最古参大関。12年秋場所で左膝じん帯損傷、13年九州場所で右大胸筋断裂など相次ぐ大ケガを乗り越え、復活の手応えをつかんでいる。「体重はあまり変わらないけど最近は“体が大きくなった”とよく言われる」。半年前から新たなトレーニングに着手。ダンベルなどの重りを体全体を使って振り回し、体幹を鍛える効果があるという。年明けの二所ノ関一門連合稽古ではライバルの稀勢の里を一気に押し込む場面もあった。「いい感覚をつかめた」。持ち味の圧力がよみがえった。

 場所後には昨年7月に婚姻届を提出した祐未夫人との挙式を控える。06年初場所の栃東以来となる日本出身力士の10年ぶり優勝となれば、最高の花を添えられる。

 ▼井筒審判長 軍配通りだと思う。安美錦の両足は跳んでいた。完全に流れも琴奨菊。5人で見ているから問題ない。

 ▼八角理事長(元横綱・北勝海) うるさい相手に勝っている。あとは合口のいい相手に確実に星を落とさず、8日目まで(全勝で)ついていけば優勝争いに絡める。

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