「ブロッコリーの上」で演じられた歴史に残る名勝負

[ 2015年7月18日 09:00 ]

ジョーダン・スピース

 ブロッコリーか、カリフラワーか。1カ月前、そんな論争が巻き起こった。男子ゴルフのメジャー第2戦、全米オープンの会場チェンバーズベイのグリーンはデコボコで、ボールが右に左に跳ねて狙ったラインを外れることが度々あった。

 フェスキューとポアナという種類の違う芝が混在していて、それぞれの成長のスピードが違うため午後になるとデコボコができるのが不規則に転がる原因だが、多くの選手が批判の声を上げた。

 2日目に38パットを打ったヘンリク・ステンソン(スウェーデン)は「ブロッコリーの上でパットをしているようだ」と恨み節。すると世界ランキング1位のロリー・マキロイ(北アイルランド)は「ブロッコリーほど青くない。カリフラワーの方が近い」と冗談交じりに“反論”した。

 ところが「ブロッコリーの上」で演じられたのは歴史に残る名勝負だった。優勝争いは最終日の終盤までもつれ、最終18番でイーグルパットを決めれば逆転優勝だったダスティン・ジョンソン(米国)が3パット。単独首位で先にホールアウトしていたジョーダン・スピース(米国)がメジャー2連勝を成し遂げた。

 スピースは平均パット数で米ツアー1位にランクされるパットの名手。うまい人は「ブロッコリーの上」でもやっぱりうまかったというわけだ。

 テキサス州生まれの21歳。12歳の時に62をマークし、19歳で米ツアー優勝を飾った天才。短いパットはカップを見ながらストロークする。いわゆるヘッドアップだ。無論セオリーではあり得ない。月イチゴルファーがやったらとんでもない方向へ転がっていきそうだが、スピースは難なくカップに沈めていく。

 「ブロッコリーの上」でも巧みにボールを操った高い技術が、セントアンドリュースのグリーンでも有効であることは言うまでもない。(福永 稔彦)

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2015年7月18日のニュース