稀勢の里 勢止めて勢い乗った!逆転Vへの挑戦権ゲット

[ 2014年5月22日 05:30 ]

<夏場所11日目>勢(右)を寄り切りで下す稀勢の里

大相撲夏場所11日目

(5月21日 東京・両国国技館)
 大関・稀勢の里が優勝争いのトップに並んだ。万全の相撲で勢との1敗対決を制すると、全勝だった横綱・白鵬は関脇・豪栄道に押し出され、初黒星を喫した。12日目は白鵬との1敗対決。初優勝に向けて大一番に臨む。優勝争いは1敗の白鵬と稀勢の里を、2敗で日馬富士と勢が追う展開となった。

 逆転優勝への“挑戦権”を得る一番で、稀勢の里は慎重さを優先させた。勢との1敗対決。得意の左差しに成功しても、慌てずに、じっくり前に出た。勢に何もさせずに寄り切り。1敗を守った直後に白鵬に土が付いたため優勝争いのトップに並んだが、支度部屋では「まあ、よかったです」と口数は少ない。気持ちは既に12日目の白鵬戦に向かっていた。

 1年前の夏場所。14日目に全勝同士で白鵬と激突した。得意の左四つから前に出たが、すくい投げに左足を滑らせて敗れた。その苦い思い出をこう振り返ったことがある。「相手に隙を与えているから滑る。これからも取組後に滑ったなんて言うことはない。みっともない」。重要な一番だったからこそ、勢戦は寸分の隙も与えなかった。

 白鵬戦へ向けては、短い言葉で自らの成長を表現した。「(昨年夏場所から)1年たったし(自分は)違うと思う。思い切って行けたら」。初場所では右足親指を痛め、千秋楽を休場して負け越し。カド番の春場所は9勝にとどまった。今場所は患部のテーピングも少ない。「流れは初日から悪くない」と自信ものぞかせた。

 北の湖理事長(元横綱)は「ここで存在感を示すのが大事」と注文を付けた上で「白鵬には早く動いていかないと」と勢戦とは違う相撲を求めた。勝てば06年初場所の栃東以来となる国産力士の優勝へ大きく前進する。それは再び綱獲りロードを歩むことを意味する。 

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