遠藤 初まげ撮った!入門1年2カ月 好評「イケメン!」

[ 2014年5月2日 05:30 ]

「ざんばら髪」から“変身”した遠藤

 大相撲のホープで東前頭4枚目の遠藤(23=追手 風部屋)が1日、埼玉県草加市の追手風部屋で入門後初めてまげを結った。3月の春場所後に試みた際は髪の毛の長さが足りずに失敗。自身2度目の横綱大関戦総当たりとなる夏場所(11日初日、両国国技館)が10日後に迫った中で再挑戦した。力士の象徴であるまげが完成し、夏場所の勝ち越しへ決意を新たにした。

 朝稽古を終え、風呂から上がってきたざんばら髪の遠藤にはどきどき感とわくわく感が入り交じっていた。「ようやくですね」。自身が抱くちょんまげの理想像は「宮本武蔵」。入門から1年2カ月が経過した14年5月1日。追手風部屋所属の床山・床風(22)の手によって待ちに待ったまげ結いが始まった。

 東前頭筆頭で6勝9敗だった3月の春場所直後に一度はチャレンジしていたが、その際は「後ろ髪が足りずにぱらぱらと落ちてきた」ために失敗。それから1カ月間も伸ばし続け、満を持してこの日を迎えた。少し天然パーマがかかった一本一本の髪の毛を、床風がびんつけ油と水をつけながら櫛(くし)で丁寧にとかす。そして、一つにまとめて元結(もとゆい=まげの根元を束ねるためのひも)でくくり、まげの先端などを整えて完成。12分に及ぶ作業 の間、下を向いて目 を閉じたり手鏡でチェックしたりと落ち着かない様子だったが、初めて出来上がった自らのちょんまげ姿を確認すると「まげは力士の象徴。一応、形になっていますね」と笑顔を浮かべた。照れながら「どうですかね?」と周囲に尋ねると、部屋関係者からは「イケメン!」という声も上がった。

 11日初日の夏場所は東前頭4枚目として迎え先場所に続いて横綱大関戦総当たりとなる。10日後に迫った中で“力士の象徴”を手に入れた角界きっての人気力士は「まげを結ってから(相撲を取る時の)感覚が変わったりするという話は聞くので稽古で頭をならしながらベストなコンディションで臨みたい」と意気込む。そして夏場所の目標については「絶対に勝ち越すんだという強い気持ち」と先場所からの巻き返しを誓った。

 ちょんまげの理想像として考える宮本武蔵は、天下一の剣豪となってもなお、生涯において兵法の道を追い求めたとされる。平成に生まれた23歳は「生きることに必死」という憧れの明石家さんまから贈られた言葉を胸に「生涯現役」で相撲の“道”を究めることを宣言。まげの完成型である大銀杏(おおいちょう)が結えるまでには少なくとも半年以上はかかるが、ざんばら髪を卒業したホープの顔立ちと心意気はこの日を境により引き締まっていた。

 ▽まげと大銀杏 日本の伝統を残すために角界ではまげを結うために入門から髪を伸ばす。通常の力士は1年程度でまげを結えるようになるが、それまでの間はオールバック姿で過ごすため「ざんばら髪」「ざんばら力士」などと呼ばれる。遠藤のような出世の早い力士は「ざんばら関取」として注目される。大銀杏は髪形の種類のことで基本的に十両以上の力士が土俵入りや取組の際に結う。まげの先端が大きな銀杏の葉に似ていることからこの名があり結うまでに入門から1年半から2年はかかる。

 ◆遠藤 聖大(えんどう・しょうた)1990年(平2)10月19日、石川県穴水町出身の23歳。金沢学院東高から日大に進学。大学4年時に国体成年個人、全日本選手権を制した。昨年春場所に幕下10枚目格付け出しで初土俵。同年名古屋場所の新十両場所を14勝1敗で優勝し、翌秋場所で史上最速となる所要3場所での新入幕を果たした。今年初場所は11勝4敗で初の敢闘賞を獲得。得意は突き、押し、左四つ、寄り。1メートル82、146キロ。

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