沙羅 逆転4連勝!W杯今季12勝、年間最多記録に王手

[ 2014年3月3日 05:30 ]

4連勝で今季12勝目を挙げ、通算勝利数を21に伸ばした高梨(中央)

ノルディックスキーW杯ジャンプ女子個人第15戦

(3月2日 ルーマニア・ルシュノブ=HS100メートル、K点90メートル)
 前日に2季連続の個人総合優勝を決めた高梨沙羅(17=クラレ)がさらに勝ち星を上積みした。1回目は85メートルで2位にとどまったが、2回目に最長不倒の93・5メートルを飛んで合計230・4点で逆転優勝。W杯4連勝で今季12勝目を挙げた。シーズンは残り4試合で、男子のグレゴア・シュリーレンツァウアー(24=オーストリア)が持つシーズン13勝のジャンプW杯最多勝記録も視界に捉えた。伊藤有希(19=土屋ホーム)は6位に入った。

 五輪は終わった。W杯個人総合連覇はすでに決めた。目標を見失ってしまいそうな状況でも「ベストを尽くしたい」という高梨の姿勢は変わらず、高いパフォーマンスにも変わりはなかった。

 1回目はきつい追い風を受けて終盤の伸びを欠いた。対照的に強烈な向かい風を受けたインサムは高梨を8メートルも上回って首位に立った。しかし、それぞれ風の条件による加点と減点を受け、インサムとの差はわずか1・4点差の2位につけた。

 「1回目は踏み切りのタイミングが遅れて後半伸ばすのが難しくなった。2回目はうまく修正できた」。修正能力の高さを発揮した2回目は変わらず追い風を受けながらも最長不倒の93・5メートル。「まだまだ技術面も精神面も欠けているところがある。レベルアップしたい」と反省する姿勢は別格の強さを感じさせた。

 かつてはほとんどジャンパーがいなかったルーマニアは、オーストリアに本拠を置く石油関連企業の支援を受け「世界のトップ10」を目標とする計画を07年にスタートさせた。その一環で12年に完成したジャンプ台には連日数千人の観客が集まり、高梨の大飛躍に歓声を上げた。女子W杯はまだ3季目と発展途上。競技の“親善大使”の役目も負う総合女王は、今季3度目の4連勝でその役割を見事に全うした。

 王者の背中もすぐそこに迫っている。ジャンプW杯では08~09年に男子のシュリーレンツァウアーが13勝したのがシーズン最多勝記録。この時、シュリーレンツァウアーは27試合に出場し、6連勝を含む表彰台20回という成績を残した。W杯歴代最多の52勝を誇る王者が打ち立てた最強の記録まであと1勝。15戦12勝で勝率8割という驚異的な数字は、まだまだ伸びる可能性が十分にある。

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