あいまいさ否めず 上村全柔連会長「辞める」けど理事には残る?

[ 2013年6月25日 06:00 ]

全柔連の臨時理事会後、記者会見する上村春樹会長

 全日本柔道連盟(全柔連)の上村春樹会長(62)は24日、東京都文京区の講道館内で開かれた臨時理事会で、10月の次回理事会をメドに辞任することを表明した。日本スポーツ振興センター(JSC)の助成金についての第三者委員会から、27人に上る不正受給を指摘されたことなどの監督責任が辞任の理由とした。ただ、理事職そのものの辞任などは明言を避けており、あいまいな部分も残った。

 3時間に及んだ臨時理事会を終えた上村会長は、怒気をはらんだような声で会見を始めた。

 「(理事会の)冒頭に、今回の改革改善のメドが立ったら会長職を辞する、と発言しました」。進退に関する発言をした4月末から約2カ月。第三者委員会から21日に提出されたJSCの助成金についての最終報告書が「けさ決めた」という辞任の最大の理由と説明した。

 最終報告書では助成金を受給していた指導者63人のうち27人に受給資格がなかったと断じられた。その助成金対象者を選んでいたのは、全柔連の強化委員会。「(助成金の)趣旨に合わなかったのは私の責任」とし、不正とされた6055万円については、全柔連の組織として返還することも決めた。上村会長の辞任時には、両副会長だけでなく、小野沢弘史専務理事、村上清事務局長の執行部全員が同時に辞職することも発表された。

 その一方で、第三者委員会に提出された「要望書」が組織の責任を回避する内容であったことについては「あくまで、いろんな意見があるということをお伝えしただけ」と無責任発言。辞任時期についても「改革にメドがつく4~5カ月後」とし、理事会の開催日が決まっていないことを理由に明言を避けるなど、あいまいさも目立った。

 暴力的指導の問題でも相応の監督責任を問われながら職にとどまってきただけに、今回の辞任発言に唐突感は否めない。さらに、代表理事としての会長職は降りても「理事(職)については分からない」とし、講道館館長については「別の組織」とするなど、すっきりしない問答があったことは事実。

 25日には解任動議提出が噂された評議員会が行われる。「皆さんにも理解してもらえる」と話したが、現体制への不信感を払しょくできたかは未知数だ。

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