貴親方「今こそ恩返し」被災地にちゃんこを!

[ 2011年3月23日 06:00 ]

04年の新潟県中越地震では、被災地で、ちゃんこ鍋を振る舞った貴乃花親方(左)

 大相撲の貴乃花親方(元横綱、スポニチ本紙評論家)が22日、東日本大震災の被災地に出向いて復興支援活動を行う計画を明かした。日本相撲協会は当面の間、被災地での救援活動を自粛させる方針だが、許可が下りれば「貴乃花グループ」の4部屋で東北地方に向かう予定。炊き出しなどでは親方自らがおにぎりを握るなど、陣頭指揮で被災地を勇気づける。

 角界の若きリーダーが被災地の復興に向けて動きだした。貴乃花親方はこの日「困っている人がいたら助ける。それは(土俵際で)駄目押しをしない相撲道の精神に通ずる。行動に移したい」と熱い口調で話した。既に親交のある「貴乃花グループ」の阿武松親方(元関脇・益荒雄)らと支援策を協議。大きな被害を受けた宮城県を中心とする被災地に出向き、ちゃんこ鍋の炊き出しなどを行う計画を練っている。

 相撲協会は震災のために凍結していたボランティア活動を解禁し、24日から幕内力士が都内で募金活動を実施する。ただし、被災地での活動は「今、現地に行っても逆に邪魔になる可能性もある」(協会広報部)と、状況が落ち着くまで自粛させる方針を打ち出している。そんな中、貴乃花親方は活動許可が下りれば「貴乃花グループ」の4部屋で東北地方に向かうことを決断した。阿武松親方は「自分たちが(野球賭博などの)不祥事を起こしている状況ですが、協会のOKが出れば現地に行けるように準備を進めています」と支持を表明。貴乃花親方も「ちゃんこを炊き、私がおにぎりを1個ずつ握って手渡したい。今はみんなで心をつなぐことが大事だから」と意気込みを語った。

 貴乃花部屋では金融機関を通じて義援金を募り「炊き出し資金」に充てることをホームページ上で告知。さらに東京都中野区にある部屋を、今後も大地震など有事の際に近隣住民の避難の場として開放することも決めた。国技の存亡が問われている中、貴乃花親方は「仙台は現役時代に夏巡業で1週間滞在したこともある思い出深い土地で、東北は数々の名力士を生んでいる。今こそ相撲界が恩返しをし、地域に根差した活動を実践するべき」と協会挙げての“全面支援”を訴えた。

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2011年3月23日のニュース