田知本姉妹 シニア国際大会初の姉妹V

[ 2010年12月14日 06:00 ]

女子78キロ超級優勝の田知本愛(左)と女子70キロ級優勝の遙

 柔道グランドスラム東京大会最終日は13日、東京体育館で行われ、初出場の田知本遙(20)が女子70キロ級を、姉の愛=めぐみ=(21=ともに東海大)が78キロ超級を制し、シニアの国際大会では初の姉妹Vを達成した。男子100キロ級は今年の世界選手権覇者・穴井隆将(26=天理大職)が制したが、同100キロ超級は準決勝で右肘を痛めた高橋和彦(25=新日鉄)が決勝を棄権したため、男子の全階級制覇はならなかった。

 姉妹同時Vの金字塔は、妹・遙香の快進撃から始まった。初戦で昨年の世界選手権覇者アルベアル(コロンビア)に反則勝ち。決勝では05年世界女王のボスを積極的に攻め、指導2の優勢勝ちを決めた。「運もあったけど、勝てて自信になった」。日本が苦戦する70キロ級に出現した20歳の新星は、笑顔をはじけさせた。

 08、09年と世界ジュニアを連覇。今年はシニアの国際大会でも2大会を制し、順調に成長してきた。その妹の意識をさらに高めたのが、姉・愛の付け人として参加した9月の世界選手権。その大舞台で姉が銅メダルを獲得し「先を越されたみたいで悔しかった」という。それが「ボロボロになっても攻めようと思った」というこの日の柔道に表れた。全日本女子の園田隆二監督も「力をつけてきたし、来年、再来年が楽しみ」と評価した。
 その妹の表彰式後に登場した姉・愛は、一時はリードを許しながら逆転。「人のことを考えてる場合じゃない」と言いながらも「妹の結果はプレッシャーだった」と苦笑いした。「2人で五輪に出て優勝する」という田知本姉妹の夢が、この日、少しだけ現実に近づいた。

 ≪高橋棄権で全階級制覇ならず≫前日まで全5階級を制した男子だが、100キロ超級決勝を高橋が棄権し、全階級制覇は夢と消えた。準決勝で反則の脇固めを受け、右肘を痛めた高橋は「戦いたかったけど、試合にならない」とがっくり。一方、100キロ級の穴井は「1年の締めくくりで勝ててよかった」と胸をなでおろした。それでも準決勝が判定、決勝も指導による優勢勝ちと内容はいまひとつで「来年はもう一度やり直していきたい」と気持ちを切り替えていた。

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2010年12月14日のニュース