安馬１０勝で白鵬追走　九州で大関獲りだ

安馬は琴欧洲を押し出しで下し、１０勝目

　大相撲秋場所１２日目は２５日、両国国技館で行われ、大関獲りを狙う安馬が琴欧洲を押し出しで破り、１０勝目を挙げた。今場所は１横綱と４大関を撃破し、１０勝５敗だった先場所に続く２場所連続の２ケタ勝利。大関クラスの実力を証明し、武蔵川理事長は九州場所が大関獲りの場所になることを認めた。白鵬が千代大海を下手投げで下し、単独首位をキープ。安馬と琴光喜が１差で追走している。

【取組結果
】

　夢に近づいた。２ケタ勝ち星を懸けた琴欧洲との一番。安馬はもろ手突きから左でいなして相手の体勢を崩すと、大関の左腕を左で引っ張り込みながら、体を密着させて押し出した。
　「胸から来ると思っていたのですが、頭から来た。上体が起きてくれたから良かったけど。とにかくつかまらないようにと思っていました。あとはそのまま流れで…」
　体調の悪さを気迫で吹き飛ばした。３日前に綿棒で耳アカを取っている時に内部を傷つけ、中耳炎になってしまった。「頭は痛くなるし、歯のすぐ近くだからかみ合わせがおかしくなって歯も痛くなった」。毎晩痛み止めの薬を飲み、取組前にはかみ合わせを良くするため、口にガーゼを含んで土俵に上がっている。
　普段は銀座に繰り出すことも多いが、場所前に大麻騒動が起きたため、今場所は繁華街に繰り出すのを控えた。代わりに部屋では趣味の油絵を描いて気分転換。「今、描いているのは海に日が沈むところ」。完成したら、モンゴルで心臓病患者を支援する活動を行っている友人の医師をサポートするため、チャリティーに出す予定だという。
　４大関をすべて撃破し価値ある１０勝目。武蔵川理事長は来場所の大関獲りについて「当然そういう話は出てくる」と話した。２場所連続２ケタ勝利は昨年秋、九州以来。だが、今年の初場所は重圧で９勝に終わり、チャンスを逃した。大関昇進には直近３場所で合計３３勝以上が必要。安馬は「チャンスは誰にでも与えられるわけではない。しっかりつかんで、ものにしたい」と意欲を口にした。その目ははっきりと大関を視界にとらえている。