倉本聰氏ドラマ「昨日、悲別で」ロケ地に落書き 直筆の詩書かれた看板に…悲しき被害
脚本家の倉本聰氏(88)が手がけ、1984年に放送された日本テレビ系ドラマ「昨日、悲別で」の舞台で、現在は閉鎖中の北海道歌志内市の会館「悲別ロマン座」が、赤いスプレー塗料で落書きされる被害に遭ったことが4日、施設を管理する市への取材で分かった。市は3日に赤歌署に被害届を提出。署が器物損壊容疑で捜査している。
市によると、建物正面と、建物前にある倉本氏直筆の詩が書かれた看板に落書きされた。縦書きの詩の文字をなぞるように塗料が吹きかけられた。
市民が2日に発見して通報。1日午前には、異常はなかった。敷地は誰でも入ることができ、防犯カメラはなかった。市が拭き取り作業をしている。倉本氏の事務所は本紙取材に「こちらの認識として、“悲別”への恨みなどではないと思います」などと答えた。
「昨日、悲別で」は北海道の炭鉱町で育ち、タップダンサーを目指し上京した青年と、地元で働く親友2人を描く青春物語。舞台は倉本氏の代表作「北の国から」(1981年)と同じ北海道。世の中がバブル景気に向かう中、不便さと共に暮らす葛藤や、豊かさを問い掛けた倉本作品の象徴として人気。都会と地方の断絶、人の温かさと弱さがほろ苦く描かれた。ロマン座は主人公がダンスを踊る舞台として登場した。
53年、炭鉱「旧住友上歌志内鉱」の福利厚生施設として建設。舞台公演などが行われた。高倉健さん主演映画「幸福の黄色いハンカチ」の撮影地にもなった。
ドラマの放送を機に市に寄付され、ドラマと同じ名称に改名。87年から観光施設として一般公開された。その後の閉鎖と再開を経て、2020年4月に不審火があってから再び閉鎖していた。市によると、閉鎖後も観光スポットになり、外観を一目見に立ち寄る観光客も多かったという。
市の人口は6月30日時点で2724人。全国で最も人口が少ない市とされる。倉本氏の詩は「明日悲別に小さな灯がともる」などとつづられている。小さな街が大切にしてきた場所への迷惑行為に、悲しみや憤りの声が広がっている。












