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元公安警察の新人作家 安倍元首相襲撃事件から着想の小説でデビュー「すべてがフィクションではない」

[ 2023年4月22日 11:45 ]

本郷矢吹氏著「小説 日本の長い一日」

 安倍晋三元首相が参院選の応援演説中に銃撃されて死亡した事件から9カ月。岸田文雄首相が衆院和歌山1区補欠選挙応援のため訪れた演説会場で筒状のものが投げ込まれ爆発した事件が今月15日に発生した。またしても多数の聴衆の目の前で政治家がターゲットとなり、日本列島に衝撃が走った。安倍元首相の事件に着想を得て書き下ろした元公安警察の作家、本郷矢吹氏はデビュー作「小説・日本の長い一日」(ART NEXT)が3月22日に発売されたばかり。さまざまな危険が潜む現代に幅広い情報を持つ新人作家の存在が今、注目を集めている。

――本郷さんは元公安警察で、世界をまたにかけた情報戦に身を投じていらっしゃいましたが、作家に転身されたのはどんな理由があったのでしょうか。
「実は音楽や文学、絵画など幅広く趣味を持っていました。現職の警察官の時に地域の文学賞に何度か応募して賞をいただくこともあって、やってみたいという気持ちがありました」

――今回の作品をデビュー作として書き下ろしたのは経緯は。
「担当編集者と食事をする機会があり、安倍元首相の事件についての情報を話したところ、非常に興味を持って下さり、小説を書くことを勧められました」

――政界を引退した元首相が衆院選に立候補した息子の応援演説中に銃弾に倒れたところから物語が始まります。この事件の背景については登場人物の会話の中で実在の組織の名前が登場するなど、リアル感を漂わせながら物語が進行。帯で、ジャーナリストの鈴木エイト氏も書いていますが、本当にすべてがフィクションなのか?という興味があります。実際はどうなのでしょうか。
「知り得た情報を全部書くわけにはいかないのですが、すべてがフィクションではありません。激変する世の中で警察小説に何が求められているのかを見極めながら、元公安警察としての経験や情報を生かした小説を書いていきたいと思います」

――小説では事件をきっかけに警察庁外事課長、防衛省情報課長、警備責任者、元首相の息子、内閣情報調査室主幹、新聞記者の運命が動き出し、それぞれが信念を貫くために闘う姿が描かれています。どのような思いを込めて書きましたか。
「さまざまな情報があふれている世の中ですが、自分で考えるということをぜひしてほしいと思います。報じられていること、発表されていることに対していろいろな疑問を持ちながら考えていってほしい。そんな気持ちを込めました」

――今後はどんな小説を書いていきたいですか。
「今作では警察庁外事課長と防衛省情報課長の2人を主人公として共闘する姿を描いたのですが、双方のキャラクターはともに私自身の経験を反映させることができます。今後もこの2人を登場させた作品を書いていきたいと思います。また、今作が発売された後、さまざまな情報が以前にも増して幅広く集まり始めました。書きたい題材はますます増えています。精力的に作品を書いていきたいと思っています」

〇…「小説・日本の長い一日」の発行元ART NEXTの担当編集者は本郷氏について「圧倒的な情報量を持っているのが強み。さらに、これまでの経験からユニークなキャラクターを生み出すこともできる。今作にもその良さが発揮されています」と語る。今後の期待については「今作の後半部分でも感じられますが、人間ドラマを書くこともできるので、楽しみな新人作家が誕生したと思っています」と話した。

▽「小説・日本の長い一日」2022年7月、元首相が衆院選に立候補した長男の応援弁士を務めるため、マイクを握った直後に狙撃されて死去。この事件を機に警察庁外事課長、防衛省情報課長、警備責任者、元首相の息子、内閣情報調査室主幹、新聞記者…さまざまな登場人物の運命との闘いが始まった。公安警察出身の著者らしいリアリティーあふれる情報戦も描かれ「非現実の中に現実を織り込んだ作品」として注目を集めている。

◇本郷 矢吹(ほんごう・やぶき)1967年(昭42)生まれ、東京都出身の55歳。とある県警警察本部の外事課に籍を置き、韓国語のスキルを生かして朝鮮半島を中心とした周辺国の情報を担当。国際情勢に精通。警察庁では危機管理も担当した。

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