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注目の1人区「長野選挙区」 家族共闘・松山三四六氏VS野党共闘・杉尾秀哉氏 共闘対決もヒートアップ

[ 2022年6月29日 05:30 ]

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 与野党にとって浮沈の鍵を握るのが32の改選1人区だ。注目区となっている長野では、立憲民主党の現職杉尾秀哉氏(64)に自民党新人でタレントの松山三四六氏(51)が挑む構図。松山氏は、妻で女優の網浜直子(53)と息子2人に支えられ“家族共闘”をアピール。一方の杉尾氏は野党共闘で再選を狙う。

 選挙戦7日目を迎えた28日。松山氏は県東部の上田市などの街頭に立ち、杉尾氏は南部の喬木(たかぎ)村など町村部を中心に支持を呼びかけた。

 参院選で長野選挙区は16年、19年、21年補選と野党統一候補が自民に3連勝中。今回は日本維新の会の手塚大輔氏(39)が割って入ったことで、与野党一騎打ちの構図は崩れた。毎日新聞社の序盤情勢調査では、杉尾氏、松山氏が激しく競り合っている。

 松山氏は東京出身だが、長野を拠点に21年間タレント活動を続け、2年前から県内で単身生活を送る。22日の公示日には網浜、長男七伎(なおき)さん(21)、次男崚馬(りょうま)さん(20)が駆けつけた。4人は、もともと網浜が好きでファミリーカラーになっている黄色いグッズを身に着けて街宣車の上で肩を並べ、家族一丸をアピール。演説会後には、中高年女性を中心とする松山氏のファンらが一家を囲んで握手攻め。選対幹部は「家族の絆から応援の熱伝導が起きている。非常にいい感触だ」と手応えを口にした。

 網浜は候補者の妻として裏方に徹している。選挙期間中は主に松山氏と分かれて県内の支援者を回る“ツーウエー作戦”を敢行。取材に対し「皆さんの期待に絶対に応えなければいけない。私はサポートすることに専念したい」と力を込めた。

 一方、杉尾氏は立民、共産党、社民党の3野党統一候補として出馬。全国的に野党共闘が不調に終わる中、市民団体ともがっちりとスクラムを組み支持層の大半を固めた。ただ、推薦を出した連合長野も立民系と国民民主党系に分かれ、地域によって温度差があるといい、杉尾氏は「完全な一枚岩ではない。6年前より厳しい戦いだ」と気を引き締める。公示日に松本市で行われた街頭演説には「市民と野党の共闘」と書かれた旗がなびき「6年前に作ってから参院選で応援した候補は負けていない」(製作者の男性)と必勝の布陣を敷いた。

 杉尾氏は「1期6年で県内77市町村、約22万キロを走り回り、現場の声に耳を傾けて法案作りに生かしてきた」と自負。実に地球5周半に相当する活動量で、陣営も「実績と知名度のどちらを選ぶか。シンプルな戦いだ」と力を込める。

 両陣営とも勝敗の鍵を握る無党派層への浸透を狙い、党幹部が相次いで応援に入る。かつて「民主王国」と呼ばれた長野を舞台にした“共闘対決”は記録的な猛暑のように熱を帯びている。

 ◇松山 三四六(まつやま・さんしろう)本名秦光秀(はた・みつひで)。1970年(昭45)7月9日生まれ、東京都出身の51歳。中学時代に柔道で全国制覇。芸名は、名字が芸能界の師と仰ぐ歌手の松山千春(66)、名前が姿三四郎にあやかっている。

 ◇杉尾 秀哉(すぎお・ひでや)1957年(昭32)9月30日生まれ、兵庫県出身の64歳。東大文学部卒。81年TBS入社。93年に「ニュースの森」キャスター就任。ワシントン支局長、報道局社会部長などを経て15年末に退社。16年参院選で初当選。当選1回。

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2022年6月29日のニュース