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あの奥寺以来!シャルケ内田、ドイツ杯王手

[ 2011年3月4日 06:00 ]

バイエルン・ミュンヘン戦の前半、競り合うシャルケ内田(右)

準決勝 シャルケ1―0バイエルンM

(3月2日 ドイツ・ミュンヘン)
 ドイツ1部シャルケの日本代表DF内田篤人(22)が、日本人としては31年ぶりとなるドイツ杯決勝進出を果たした。2日に敵地で行われた準決勝バイエルン・ミュンヘン戦に右サイドバックで公式戦6試合連続のフル出場を果たし、フランス代表MFフランク・リベリ(27)を抑えて1―0の完封勝利に大きく貢献。決勝戦に日本人が出場するのは80年のケルンMF奥寺康彦(58=現横浜FC会長)以来。5月21日の決勝戦(ベルリン)では2部デュイスブルクと対戦する。

 シャルケの6年ぶりのドイツ杯決勝進出を祝う歓喜の輪の中で、内田の笑顔が一際輝いていた。リーグ戦、ドイツ杯と昨季2冠を制した強豪バイエルン・ミュンヘンをアウェーで破る価値ある勝利に「うれしいですね」とまずは一言。報道陣から日本人の決勝進出が80年のケルンMF奥寺以来と伝え聞くと「そうなんですか?勝っているの?どこにいたの?凄いな」と逆取材して31年ぶりの“偉業”を実感した。

 与えられた難しいミッションを完璧にやり遂げた。バイエルンMの攻撃の起点は左MFのフランス代表リベリと右MFのオランダ代表ロッベン。右サイドバックの内田は対峙(たいじ)するリベリを狙い通りに“完封”した。12月4日のリーグ戦でもリベリを抑えて2―0快勝に貢献しており、今回は2度目の対決。「一番簡単なのは(ボールを)持たせないこと。パスの出所を見ながら」とまずはリベリへのパスを警戒。さらに「ボールが(リベリに)渡ったらそこから勝負。スピードに乗せたら面倒くさいので、なるべく距離をあけずに詰めた」と持ち味のスピードを殺す守備で相手を次第にイラ立たせた。

 前半21分には速攻を仕掛けようとしたリベリからボールを奪うと、相手から右すねを削られるファウルを受けた。後半25分の接触プレーでは激怒したリベリに詰め寄られた。「凄くイライラしていた。オレ、このまま殴られるかなと思ったけど。怒っているということは良い守備ができているということだから」。試合後、マガト監督から直々に褒められた“リベリ封じ”に「満足」と、してやったりの表情だった。

 シャルケは現在リーグ10位で、3位以上の欧州CL出場権、4、5位の欧州リーグ出場権の獲得は厳しい状況。5月21日の2部デュイスブルクとの決勝戦に勝てば欧州リーグ出場権を獲得できるだけに「次勝たないと意味がない。2位だったら、やらないほうがいい」とまで言い切った。優勝すれば78年の奥寺以来、33年ぶりの快挙。アジア杯からチーム復帰後、6試合連続フル出場と不動の存在に成長した内田が日本人の新たな歴史を刻む。

 ▽ケルンMF奥寺のドイツ杯決勝 古河からドイツに移籍した1シーズン目の78年にデュッセルドルフと対戦。先発フル出場して2―0での勝利に貢献し、ドイツ杯とリーグ戦の2冠を達成した。80年は2年ぶりの再戦となったデュッセルドルフに1―2と逆転負け。奥寺は後半21分から途中出場。同僚の当時20歳のMFリトバルスキー(現ボルフスブルク監督)が先発した。

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2011年3月4日のニュース