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スエマエ大金星!世界1位中国組撃墜

[ 2008年8月12日 06:00 ]

女子ダブルス準々決勝で前回覇者の中国ペアを破り、万歳する末綱(奥)と泣き崩れる前田

 【北京五輪・バドミントン】「スエマエ」が大金星でメダル王手だ!女子ダブルスの世界ランク8位、末綱聡子(27)、前田美順(22=ともにNEC・SKY)組は、準々決勝で世界ランク1位の楊維・張潔ブン(中国)組と対戦し、2―1で“大物食い”を演じた。92年バルセロナ五輪で正式競技になって以降、日本勢で初めて4強進出。第4シードの李敬元・李孝貞(韓国)と対戦する13日の準決勝で、日本バドミントン界悲願のメダルを狙う。また、小椋久美子(25)、潮田玲子(24=ともに三洋電機)組は準々決勝で敗れた。

 大金星の重みに耐えかねるように、2人はコートにうずくまった。04年アテネ五輪金メダリスト、世界ランク1位、第1シード…。大本命を示す肩書が並ぶ最強の中国ペア相手に、末綱・前田組が大逆転勝利。殊勲の汗と涙で夢舞台のコートを濡らした2人が、立ち上がって熱い抱擁を交わす。「言葉にするのがもったいないくらい、うれしい」と前田が声を震わせた。
 第1ゲームは8―21と手も足も出なかったが、「倒れてもいいくらい攻撃し続けた」(末綱)と開き直って逆襲をスタートさせた。ジュースの末に第2ゲームを奪うと、第3ゲームも20―14でマッチポイント。昨年1月のマレーシア・オープンでは同じ相手を20―10とあと1点まで追いつめたが、悪夢の大逆転負けを喫した。「点差が離れていても、油断できなかった」と前田。大舞台で同じ過ちは繰り返さなかった。
 “大物食い”を可能にしたのは、精神面の成長だ。前田が入社した04年春にペアを結成したが、2人とも負けず嫌いな性格が災いして、互いのミスを許せなかった。試合中に末綱がキレてしまい、険悪ムードになったことが何度もある。意識が変わったのは、北京五輪出場権争いが始まっていた約1年前。夢舞台に立つため、お互いが「我慢」することを覚えた。ミスすれば目を合わせなかった2人が、この日はアイコンタクトを欠かさず、意思統一も完ぺきだった。
 92年バルセロナ五輪で正式競技になって以降、4強進出は日本勢にとって初の快挙。夢のメダルに、あと1勝で手が届く。「ここまで来られると思ってなかったけど、準決勝も自分たちらしく頑張りたい」と末綱は気合十分。オグシオ人気の陰に隠れていた実力者・スエマエが、表彰台へ駆け上がるところまできた。(杉本 亮輔)

 ◆前田 美順(まえだ・みゆき)1985年(昭60)10月14日、鹿児島県国分市(現霧島市)出身の22歳。6歳でバドミントンを始め、熊本中央高2年時に高校選抜、3年時には欧州ジュニアに出場しダブルスで優勝。04年にNEC九州(現NEC・SKY)に入社。1メートル69、63キロ。右利き。

 ◆末綱 聡子(すえつな・さとこ)1981年(昭56)1月30日、大分県大分市出身の27歳。8歳でバドミントンを始め、ダブルスで昭和女子(現昭和学園)高2年時に高校選抜、3年時に高校総体優勝。99年にNEC九州(現NEC・SKY)に入社。1メートル67、60キロ。右利き。

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五輪の2008年8月12日のニュース