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痛いのに「痛くない」…川崎は本当の侍だ

[ 2008年8月6日 06:00 ]

痛みをこらえノックを受ける川崎(左)

 【北京五輪・野球】ムネリン、決死の北京出場だ―。北京五輪に出場する日本代表の直前合宿4日目は5日、川崎市のジャイアンツ球場で予定されていた巨人2軍との練習試合が雨天中止。調整が大幅に乱れる中、前日に練習を休んだ川崎宗則内野手(27)が、練習に復帰した。左足甲の痛みで出場が危ぶまれたが、川崎は星野仙一監督(61)に直訴し、痛みを抱えながら大舞台に臨むことになった。

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 北京へ懸ける強い思いがグラウンドに立たせていた。リタイアからわずか1日。川崎はいつものオールドスタイルで元気に動き回っていた。悲壮な決意は、笑顔で隠し通した。
 「もう痛みはありません。1日休んだので100%の状態に戻った。きのうはサボっただけですよ。もう試合に出られる体になりました」
 前日に都内の病院で検査した結果は「左足の第2中足骨骨膜炎」。とても1日で痛みが消える症状ではない。無理すれば五輪後のシーズンにも影響が出る。前夜、星野監督に呼ばれて「ホンマのことを言え」と問いただされたが、それでも「本当に大丈夫です」と答えた。日の丸への熱い思いと責任感。痛みはシーズン中からあったはずなのに「そんなことありません」とも話した。
 そんな川崎を後押ししたのがソフトバンク・王監督だ。星野監督は「ポロッともチラッとも(痛いと)言わんのや」と本人からの状態確認は難しいと判断。王監督へ電話を掛けたところ「川崎はキャンプから五輪をモチベーションに頑張ってきた。本人の好きなようにさせてください」という答えが返ってきた。一時は選手の入れ替えも覚悟した闘将はその言葉を聞いて決断し、北京へGOサインを出した。
 練習試合が雨天中止となる中、川崎は室内練習場でフルメニューをこなし、居残り練習も敢行した。同じく疲労性の首痛で前日に休養した西岡も復帰。「チームに迷惑かけたので、その分試合で貢献したい」と意欲を見せた。主力2人の完全復帰。田淵ヘッド兼打撃コーチも「最後まで一緒に行こうと話したよ」と胸をなで下ろした。
 入院中の村田の復帰は微妙だが、最強の二遊間が帰ってきた。川崎の決意が、きっと北京の舞台で金色に輝く結果を生むはずだ。

 ▼ソフトバンク・王監督 子供じゃないんだから、自分で判断できる。オリンピックということもあって、本人も出たいというのがあるでしょう。

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2008年8月6日のニュース