【競輪 西武園ミックスゾーンリポート】真杉匠の夏対策はヒーター!? 地元記念へ涙の熱い“たぎり”も

[ 2025年8月31日 21:42 ]

<西武園競輪場>地元記念の最終日に1着を獲り涙を流す中田建太
Photo By スポニチ

 現在、競輪の取材はコロナシフトのままで制限が多い。そんな中でもレースだけではない、競輪の人間臭さや、選手の何気ない一面を少しでも伝えたい。そんな思いから本紙記者がミックスゾーンで見た、聞いた、感じた話を「ミックスゾーンリポート」と銘打って自由気ままに書かせてもらう(不定期配信)。第2回は真杉匠(26=栃木・113期)が優勝した西武園競輪開設75周年記念「ゴールド・ウイング賞」。

 
 「まぐれって続くもんですね」。優勝した真杉匠が決勝後に開口一番もらした。西武園はこれでオールスター、昨年の当大会と3連覇。抜群の相性を誇る。ただ、結果が出ているのがたまたま西武園というだけで、強さにはしっかりした裏付けがある。

 前検日、真杉は大型ワゴン車で登場。そこからキャンプで使うような台車に大量の荷物を乗せた。さらには同乗してきた板垣昴になにやらポット型の足湯のようなものを持たせていた。板垣は「なんでこんな暑いのに、あっためるんですかね。これ、記者さんにどうぞ」と笑っていた。真杉本人にその機材について尋ねると「あれは足を暖めるヒーター。お湯は使わないですよ(笑い)。寒い冬場だと上がりタイムも落ちていますよね。競輪場って意外と冷房が効き過ぎて寒いんですよ。気づかれないように(エアコンの設定温度を)上げたりしているんですけどね(笑い)。アップ前とレース前の控え室で使ってます」と教えてくれた。さらに「どんどん荷物が増えるんですよね」と疲労を取るためのケア機材など、道具にもストイック。偶然の勝利などない。しっかりとした準備こそが、結果につながったのだろう。

 埼玉勢は以前「たぎり」と書かれたお揃いのTシャツを着ている時期があった。決勝で地元勢4車の先頭を務めた森田優弥はとにかくたぎっていた。2着だった二次予選後のインタビューが強烈。記者が“くみた…(てはどのように考えていましたか)”という問いにかぶせて「最悪です」。その後も“換えたじてん…(しゃはいかがですか)”「問題ないです」。“ちょう(しはいかがですか)”「問題ないです」というように、レースで隙を見せた自身へ怒り心頭。決勝で真杉と「迷いはありません」と別線を選択したように、とにかくたぎっていた。優勝こそできなかったが、まさに“たぎり”を感じさせられた。

 そんな森田優弥から意志を継いだのが森田一郎。初の地元記念で4日間最終バックを取り、見せ場をつくりまくった。特に準決では兄弟子を決勝に導く走りを披露。「森田(優弥)さんと連係するのが直近の目標で、そこを目指してひたすら日々練習していた」。競技者のイメージが強い森田一だったが、今大会では「ライン」という言葉を連呼していた。「自分でも負けず嫌いで、変わっている」という性格だが、先輩のアドバイスにより真っ直ぐ競輪選手の道を歩み初めたように感じた。それは平原康多氏から森田優弥に受け継がれ、それが森田一郎に託されたものでもあるのだろう。

 地元からはもう1人。中田健太(35・99期)が号泣した。最終日に森田一郎を差して1着。レース後のインタビュー、初めは笑顔だったが、4日間の振り返りとなると…「来年、平原康多カップはA級なので出られない…。これが最後という思いだった。(武藤)龍生が決勝に乗れてうれしかったけど…」というところで涙腺が崩壊。「本当は一緒に乗って、森田(優弥)、龍生が優勝するところを後ろから見たかった…」と涙と本音をこぼした。選手にとって地元記念は仲間たちと戦う特別な舞台で、譲れない思いがある。埼玉勢から熱い思いを強く感じた。

 準決で無念のスタート直後の落車に終わった吉田拓矢についても。フォーカスしたいのは二次予選。ライン4車となったことで打鐘4角ガマシで主導権を奪った。宿口陽一に差されたが、格上機動型による“ラインで勝ち上がる記念の二次予選の走り方”を披露した。今年の高松宮記念杯で「郡司さんの走りを意識、理想としている」と言っていた。レース後に“郡司さんみたいでしたね”と話すと「それを意識して走りました。ただ、もっとキレが必要ですね」と自力選手として憧れの存在に追いつけ追い越すよう、さらに上を見据えていた。

 山本伸一からは求道者らしい話を聞けた。シリーズ2勝で終えたが、「南さんと一晩、話させてもらったが、僕には足らないところが多過ぎる。難しい。追い込みとしても、自転車の技術としても。長いスパンでやり直さないといけない」と頭を悩ませる。「でも、スポーツって急につかむことがある。野球の経験からも、それがあることは分かっている。あとはつかめず終わるか、つかめるか。つかむチャンスはやっていかないとつかむことはない。そこが楽しい部分でもあるんですけどね。折れずに頑張ります」とアスリートらしい爽やかな笑顔で競輪場を後にした。“球道者”としても活躍していただけに、努力の仕方とチャンスのつかみ方は分かっている。再浮上が楽しみだ。

開催ベストレース
二次予選6R(森田一郎が先行し太田龍希と地元ワンツーに導く)

MVP
真杉匠(26=栃木)

今後注目選手
森田一郎(24=埼玉)

(東京本社競輪担当・渡辺 雄人)

「2026 NHKマイルC」特集記事

「京都新聞杯」特集記事

ギャンブルの2025年8月31日のニュース