“競馬一家のサラブレッド”大江原比呂 ひと鞍ずつ大切に「今は楽しみな気持ちの方が大きい」

[ 2024年3月1日 05:30 ]

大江原比呂(撮影・村上 大輔)
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 今週は8人の新人騎手がデビューする。美浦の大江原比呂(19=武市)はJRA13人目、現役7人目の女性騎手。藤田菜七子(26=根本)に憧れて騎手の道を志した。石神深道(18=和田正)、吉村誠之助(18=清水久)はともに現役騎手である父の背中を追ってこの世界へ。いよいよプロとしての第一歩を踏み出す。一方、7人の調教師が70歳定年によりラストウイークを迎える。安田隆行師(70)は大攻勢。地方、海外を合わせ、あと「4」としている通算1000勝へ。劇的なドラマの予感がする。

 先輩女性騎手の姿に抱いた憧れが、少女を騎手の道へと導いた。2日の中山で待望のデビューを迎える大江原比呂。「中学生の頃、藤田菜七子さんが活躍する姿をテレビで見て、ジョッキーになりたいと思いました」。憧れの先輩と肩を並べ、現役7人目の女性ジョッキーとなる。

 生まれた時から競馬が身近にあった。祖父は障害騎手から調教師(23年引退)へと転身した大江原哲さん。父の勝さんは蛯名正厩舎で現調教助手という競馬一家で育った。「小学校5年生の時に友達に誘われて乗馬クラブに通い始めました」。競馬の魅力も危険も分かっている家族は、楽しそうに乗馬にいそしむ比呂を見て「ジョッキーになりたいと思わなければ…」と複雑な心境で見守った。

 乗馬の楽しさにはまると同時に、活躍する藤田菜七子の姿に騎手という職業を強く意識し始める。「中学生になった時に、勝手に競馬学校ジュニアチームに応募しちゃいました」と比呂。最初はジョッキーを志すことに消極的だった両親もその行動力に驚き、次第にその夢を応援するようになった。

 「今は楽しみな気持ちの方が大きいです。でも、競馬場に着いたら緊張してしまうかも…」と新人らしい一面も。土曜中山6Rで騎乗するタイガードラゴンは、祖父が調教師として管理し、重賞(14年新潟2歳S)も制したミュゼスルタンの産駒。祖父ゆかりの1頭で初勝利を目指す。哲さんは「なんか縁があるよね、感慨深いよ。頑張ってもらいたいね」と愛する孫にエールを送る。

 「1年留年しましたが、サポートしてくれた競馬学校の先生たちに感謝しています。これからも感謝の気持ちを忘れずにひと鞍ひと鞍大切にしていきたい」。強い愛馬心を持ったニューヒロインの新たな物語が始まる。 

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