【秋華賞】リバティアイランド 癖だらけも…今や3冠は「義務」「通過点」

[ 2023年10月13日 05:27 ]

リバティアイランド牝馬3冠への道

リバティアイランドと密着する松崎助手とリバティアイランドにまたがる片山裕也助手(右)
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 秋華賞連載「リバティアイランド 牝馬3冠への道」は2人の調教助手にスポットを当てた。稽古をつける片山裕也助手(43)、担当スタッフの松崎圭介助手(47)に迫る。最強のチームが一丸となり、史上7頭目の牝馬3冠に挑む。

 将来、輝くであろう原石は試行錯誤しながら磨かれた。デビュー前からリバティアイランドの調教にまたがってきた片山助手は「ひと癖もふた癖も持っている馬でした。牝馬路線の一線級に持っていくためにどうしたらいいか、というのはありましたね」と振り返る。

 繊細な牝馬、いかにして能力を伸ばしていくか。なだめる方がいいのか、時にはガツンと怒った方がいいのか。接する中で「緩急をつけていこう」という結論に至った。「怒る時は怒る、褒める時は褒める。それが結果に結びついているので怒る時、攻める時に関しては牡馬と変わらない感じでやっています」。厳しいことを課しても、リバティアイランドは乗り越えた。「ちょうど良い加減というところを探るのに凄く時間がかかりましたね」と理解までの日々を思った。

 普段の世話は担当の松崎助手が行う。片山助手は「乗っている時に怒ったりするのは僕の仕事。嫌われ役の部分もありますよ。だから、松崎さんは母親のような存在じゃないかな。馬が安心して、落ち着ける場所になっていると思います」ときっちり役割分担ができている。

 松崎助手は中内田厩舎の“牝馬担当”とも言うべき腕利き。担当したダノンファンタジー、ミッキーチャーム、アートハウス、ビッグリボンなどで牝馬重賞を制した。「本当に巡り合わせなんですけどね」と謙遜した上で「女の子は基本的に、やりたいようにやらせておいた方がいいかな。なるべく怒らないようにしています」と牝馬に接する時の心構えを口にする。

 リバティアイランドの性格については「くすぐったいからなのか体を触られるのが、とにかく嫌いですね。そのあたりは自分を持っているというか、基本的には普通の女の子っぽい。可愛いですよ」と目を細める。レース当日につける髪飾りがファンの間で話題に。「嫁が作ってくれているんです。桜花賞は桜、オークスは勝負服カラーで3色にしました。女の子なので、可愛くしてレースに向かいたいと思います」とおしゃれも忘れない。

 いよいよ3冠挑戦の時が近づいてきた。松崎助手は「3冠を獲るのは目標じゃなくて義務ぐらいの感じに思っています」と力を込める。片山助手も「まだ先を見据えています。最後に振り返った時に“3冠を獲った時は凄かったけど、やっぱり通過点だったな”と言えるような馬になってほしいですね」と期待を寄せた。リバティアイランドに携わる全ての関係者がワンチームとなり、牝馬3冠をつかみ取る。=終わり=

 ◇片山 裕也(かたやま・ゆうや)1980年(昭55)1月31日生まれ、京都府出身の43歳。佐々木厩舎、池江泰郎厩舎、千田厩舎を経て現在は中内田厩舎の調教助手。過去にタップダンスシチー、ブラックタイド、ディープインパクトなどの調教に携わる。

 ◇松崎 圭介(まつざき・けいすけ)1976年(昭51)2月13日生まれ、福岡県豊前市出身の47歳。北海道の大樹ファーム勤務などを経てJRA競馬学校に入学。栗東・藤岡範士厩舎に所属し、14年の解散後に中内田厩舎へ。今年でキャリア22年目。

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