【きさらぎ賞】アランデルに注目!大竹師 ルージュバックから学んだG1の壁

[ 2021年2月5日 05:30 ]

牡馬相手の重賞では4勝を挙げたルージュバック(撮影・平松さとし)
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 【競馬人生劇場・平松さとし】2015年のきさらぎ賞(G3)。単勝1・7倍の圧倒的1番人気に支持されたのは牝馬のルージュバックだった。この時点で2戦2勝の同馬を牡馬相手の重賞に送り込んだ大竹正博調教師は、当時の胸の内を後に次のように語った。

 「初めての関西圏への輸送競馬で、カイ食いが落ちてしまいました。さすがに少し不安になったけど、2戦2勝でレコード勝ちもしていたので、期待する気持ちも当然ありました」

 結果ルージュバックは不安を吹き飛ばし、期待に応える。2着馬を2馬身突き放し、快勝してみせた。

 しかし、この時、指揮官は大変な事態に陥っていた。

 「ナーバスになりおなかの具合が悪くなってしまいました。表彰式の間も額に脂汗をかいていました」

 オーナー関係者から誘われた祝勝会も断腸の思いで断って、まずは体調の回復を図ったという。

 さて、その後のルージュバックだが、続いて出走した桜花賞(G1)では単勝1・6倍の1番人気に推されたが、逃げ切ったレッツゴードンキから1秒離された9着に沈んでしまう。さらに次走のオークス(G1)では「生涯最高の出来」(大竹師)で挑ませると、ゴール前200メートルで先頭に躍り出た。しかし、最後にミッキークイーンに差され2着に惜敗すると、17年に5歳で引退するまでとうとうG1のタイトルを手にすることはできなかった。

 「G1を勝つための何かが当時の自分にはまだ足りなかったのか、考えさせられました」

 大竹師はそう言ったが、その半面、ルージュバックは冒頭のきさらぎ賞など牡馬相手の重賞を4勝もした。

 「流れが向いたのか、重量が良かったのか牡馬相手の方が強かったですね。G1を勝てなかったのも含め多くのことをルージュバックに教わった思いがしました」

 そう続けた大竹師は今週末に行われる今年のきさらぎ賞にアランデルを送り込む。鞍上は同師初のG1制覇となったブラストワンピースが有馬記念を勝った時と同じ池添謙一騎手。新たなるドラマが幕を開けるのか。注目したい。 (フリーライター)

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2021年2月5日のニュース