小林凌、父・淳一氏のような「祝福」される騎手に 引退式での父の“輝き”追い求め

[ 2020年8月26日 05:30 ]

小林凌大
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 細身で今風のイケメンといった雰囲気の小林凌。ゆったりとした口調で慎重に言葉を選ぶ姿が印象的だ。騎手を目指したのは必然だった。父はイングランディーレで03年ダイヤモンドSなどを制し、今はJRA競馬学校で教官を務める小林淳一氏。小学生の時に競馬場で見た父の引退式は今もはっきりと覚えている。「家族も引退式をやっているウイナーズサークルに入れてもらえたんです。ファンの方々や騎手仲間の方がみんなで父を祝福していた。素晴らしい仕事だなと思い、引退式が終わってすぐに目指したいと言いました」

 競馬学校の入学試験は一発でパス。厳しい規律の下で寮生活を送るようになるが、“父が教官にいる”というのは他の生徒とは明らかに違う状況だった。「当たり前だけど、父が技術面などでいろいろと指摘してくれました。それが他の教官に言われる場合より素直に聞けなかったんです」。一般的に反抗期まっただ中の年代。どうしても父だけに素直になれなかった。

 転機となるのは美浦・小西厩舎への実習。小西師や厩舎でよく顔を合わせた先輩騎手・田辺のアドバイスを受けるようになり考えが変わった。小林凌は「日々、父と同じようなアドバイスを頂きました。その時に“父もこういうことが言いたかったのか”と思いましたね」と当時を振り返る。全ての少年が通る道を経て、19年に無事にデビューを迎えることとなった。

 同期は「武豊世代」以来、初年度に3人が30勝をマークした黄金世代。ここまで通算4勝の自身の成績について「下の下です。同期には減量が取れる頃には追いつきたい」と決意を語る。自身の目指す騎手道を突き詰めた先に、あの日見たウイナーズサークルの光景が待っているはずだ。

 ◆小林 凌大(こばやし・りょうた)2001年(平13)2月20日生まれ、茨城県出身の19歳。美浦・小西厩舎所属。競馬学校35期生の平成ラストデビュー組。19年3月2日の中山9Rフジマサクイーン(7着)でJRA初騎乗。初勝利は同年12月15日の中山1Rスピーニディローザ。JRA通算439戦4勝。1メートル64、47キロ。血液型AB。

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2020年8月26日のニュース