横山典2万回騎乗で築いた“らしさ”これからも

[ 2020年6月12日 05:30 ]

ブルーダイヤカフェに騎乗した横山典は2万回騎乗を達成して勝利を挙げた
Photo By 代表撮影

 【競馬人生劇場・平松さとし】ベテラン横山典弘騎手がまた一つ偉大な記録に到達した。先週7日の東京競馬場、3Rでブルーダイヤカフェに騎乗し、JRA通算2万回騎乗を達成したのだ。史上6人目の快挙である。

 1968年2月生まれの52歳。初騎乗は86年。デビュー5年目の90年にキョウエイタップでエリザベス女王杯を勝ったのが自身初のG1勝利。その後、2009年にロジユニヴァースでダービージョッキーとなると、14年にはワンアンドオンリーでダービー2勝目。他にも数々のG1を制した他、10年にはJRA賞最多勝利騎手も獲得。押しも押されもしないトップジョッキーとなったわけだが、先入観にとらわれない思い切った騎乗も彼の代名詞。イングランディーレに騎乗した04年の天皇賞・春で大逃げを打ちそのまま逃げ切ったり、それまで追い込み一辺倒だったカンパニーを一転して先行させて勲章をつかんだり…。不発に終わったといえ先日のダービーもスローとみるやパートナーのマイラプソディを道中、後方から一気に先頭にいざなうなど“らしい”手綱さばきを見せてくれた。

 また、3人の子供のうち2人が父を追って騎手デビュー。4月には三男の武史がウインマリリンでフローラSを制し重賞初勝利、2週後には長男の和生がトーセンスーリヤで新潟大賞典を優勝してみせた。

 横山典騎手は1990年代後半から2000年代にかけて毎年のようにフランスへ行っていた時期があった。一度だけ3人の子供を連れてきたことがあり、当時、家族に交ぜてもらって現地でご一緒させていただいたが、そこで見せた彼の表情は普段の勝負師のそれではなく、一人の父親と思わせるものだった。子供たちがデビューした現在も、もちろんその気持ちに変わりはないだろう。当然、心労もそれなりに増えたと思えるが、だからといって築き上げた騎乗技術は簡単に衰えないはずだ。2万回騎乗を勝利で飾ったのも“さすが”と感じさせた。現時点でJRA通算2799勝。華麗な騎乗で2800勝、そしてその後の勝利も重ねていただきたい。(フリーライター)

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2020年6月12日のニュース