新装美浦WコースはダービーWINへ直結 改修工事終了で運用スタート

[ 2019年9月4日 05:30 ]

 ついに、関東馬たちの新たな鍛錬場がお披露目だ。3日、美浦トレーニングセンターの新ウッド(W)コースが運用スタート。6月25日から行われていた改修工事が終了し、多くの馬がその走り心地を堪能した。現場の声が多く反映された新コースはコーナーが緩やかになり、府中と同じ左回りでの調教も可能に。実装初日の各陣営の評判は上々だ。全てのホースマンが目指すダービーに直結する日も、そう遠くはない。

 9月最初の調教日、美浦トレセンには新鮮な光景が広がっていた。かつてダートが敷かれていた最も外に位置するDコースが、褐色のWチップで埋め尽くされている。そして、左回りでゴールを目指す調教馬たち。名伯楽・国枝調教師も「いろいろと良くなったね。これで強い馬をつくれということでしょう」と満足そうだ。

 使用頻度の最も高いWコースの改修は大きな期待をかけられていた。内から2つ目に設置されたこれまでのBコースから、Dコースへの入れ替え。幅員は20~30メートル広くなり、コーナーのきつさが解消された。奥村武師はその恩恵が最も大きいと証言。「調教で最優先すべきことは故障をしないこと。コーナーを回りやすくなることで、脚元への不安を抑えながら負荷をかけることができる。これはかなり大きい変化です」。

 また、1周の距離自体も1600メートルから2000メートルに延びる。従来は負荷を強めるために最終コーナーから追いだすシーンもあったが、直線だけでしっかりと脚を伸ばすことが可能に。「直線が長くなるのもいい。道中で我慢させても、そこからの距離があるからね」とは国枝師。競馬を覚える段階の若駒に“ためる競馬”を仕込みやすくなるメリットもある。

 そして、直線に坂があったBコースでは不可能だった左回りでの調教も曜日指定でスタートする。栗東トレセンでは既に行われているが、ようやく関東馬たちも、ダービーやオークスが行われるホーム競馬場とも言える府中と同じ左回りで鍛錬できるようになる。この日、調教にまたがった松岡は「一番の利点は左右で乗れること。栗東のコースに近いイメージでしたね。さらにいい馬づくりができると思う」と声を弾ませる。22年には高低差が33メートル(今は18メートル)の新坂路も完成予定。どんどん進化する調教施設を武器に、関東馬たちのさらなる躍進が始まりそうだ。

【「滑りやすさ」防止も】新Wコースには細かい配慮も施されている。敷き詰められたウッドチップは下層部分は新しいものだが、競走馬が接する上層部は使用済みの古いものが使われている。奥村武師は「(チップの)粒が大きいと馬が滑りやすくなるんです。コーナーとかで踏ん張りが利かなくなることもあるし、リスクが大きい。上手に移行していただけました」と納得の表情。これまでBコースで活躍してきたチップたちは、新コースでも競走馬たちを支えている。

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2019年9月4日のニュース