武豊、天国へ誓った ディープ産駒で「凱旋門勝ちたい」

[ 2019年8月1日 05:30 ]

急死したディープインパクトについて会見をする武豊騎手
Photo By 提供写真

 ディープインパクトの急死から一夜明けた31日、現役時全14戦に騎乗した武豊(50)が栗東トレセンで記者会見を行った。騎手人生で最高の相棒への感謝と後悔を口にした名手は改めて「ディープ産駒での凱旋門賞制覇」という目標を掲げ、共に目指した日本競馬の夢の実現へ決意を新たにした。

 「感謝しかない。ありがとう」

 ディープインパクトに掛ける言葉を問われ、武豊は答えた。端的な言葉に全ての思いを込めた。改めて存在の大きさも痛感した。NHK、民放各局はニュースで名馬の死をトップ扱いで伝えた。「報道された番組を見たが、偉大な馬だったと思います」。搭乗待ちの新千歳空港で知らせを受け、いち早く社台スタリオンステーションへ。既に主なき馬房に手を合わせた。「お守りが掛けてあり、まだ花も添えられていなかった。さっきまでそこにいたという感じの光景だった」。表情には、突然の死をまだ完全には受け止め切れない困惑が浮かんだ。

 現役時全14戦の手綱を取り無敗3冠、G1・7勝。圧倒的な強さで平成の競馬シーンにインパクトを残した。「僕にとってはヒーロー。英雄だったと思います。多くの人がそう思っているんじゃないですか。いつかこういう馬が現れたらいいな。そう思っていた馬に出合えて凄く幸せでした」。愛馬へのあふれる思いを口にした。

 印象に残るレースを問われると「一つ挙げるのは難しい」とした上で「ラストランの有馬記念は一番、ディープらしいレースができた。2年間乗って、やっと手の内に入れたという集大成だった」と振り返った。一方、後悔は?の問いには「あります」と即答。3位入線(後に失格)で敗れた06年凱旋門賞。「当時は世界一強いと思っていたから、獲れなかったことは大きな悔しさとして残っている。これは改めてではなく、ずっと思っている」と語気を強めた。

 これで夢が終わったわけではない。「種牡馬としても凄い馬。僕もこの先、遺伝子を引き継いだ産駒で凱旋門賞に参戦し、勝ちたいという気持ちがある」。ディープは父サンデーサイレンスが死んだ02年生まれで、デビューは死後2年たった04年。今後、父をしのぐ産駒が登場する可能性も残している。「きっとディープ産駒から、またディープのような怪物が現れるはず。最終世代(現在受胎中の約20頭)から現れたりしませんかね」。道半ばで天国へ旅立った相棒の無念を胸に。武豊はディープで果たせなかった夢を、その血筋に託して追い続ける。

続きを表示

この記事のフォト

2019年8月1日のニュース