英国で果たした恩返し…ルメール“桜冠”の思い出

[ 2018年4月13日 05:30 ]

バリー調教師
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 【競馬人生劇場・平松さとし】先週行われた桜花賞はアーモンドアイの鬼脚がサク裂。大本命のラッキーライラックなどをまとめてかわして優勝してみせた。

 手綱を取ったのはクリストフ・ルメール。これまで桜花賞とは不思議と相性が悪かった。一昨年は1番人気のメジャーエンブレムで4着。昨年も1番人気ソウルスターリングで3着。両頭共に前後のレースでは強い競馬をしており、なぜか桜花賞だけがピンポイントで凡走に終わってしまった。しかし、ルメール自身、桜花賞と縁がないというわけではない。

 フランス版の桜花賞にあたるプールデッセデプーリッシュはディヴァインプロポーションで制した2005年など計2勝。同イギリス版の1000ギニーも08年にナタゴラで優勝していた。

 ナタゴラは日本馬ディヴァインライト産駒で、管理したのはP・バリー調教師。10年にヴィクトワールピサが凱旋門賞を目指しフランス入りした際に受け入れてくれた調教師だ。ナタゴラでイギリスに渡った際、ルメールは「バリーさんのために何としても勝ちたかった」と話していた。

 「バリーさんはアシスタントトレーナーとしてブータン厩舎にいた時、ヌレイエフと共にイギリスの2000ギニーに挑戦したことがありました。結果は1位で入線しながらも他馬を妨害したということで降着になってしまったのです」

 それだけにイギリスのクラシックレースに懸ける思いは強かった。それを知っていたからこそ、何としても勝ちたかったのだと言う。結果、見事に勝利し、バリー師も喜んでくれたそうだが、当時を述懐するルメールは苦笑いしながら、続ける。「逃げ切りだったのですが、実はバリーさんに唯一注文されていたことがありました。それは“逃げるな”というオーダーでした」

 名馬にはエピソードが付き物だ。果たしてアーモンドアイとの今後には、どのような物語が待っているだろう。楽しみにしたい。

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2018年4月13日のニュース