【大井・東京ダービー】伏兵ラッキープリンス頂点!同厩舎ワンツー

[ 2015年6月4日 05:30 ]

今野騎乗のラッキープリンス(左)は的場騎乗のパーティメーカーの追い込みを退け東京ダービーを制した

 「第61回東京ダービー」が3日、大井競馬場で行われ、直線で抜け出した9番人気ラッキープリンスが戴冠。小久保智師(43=浦和)、鞍上の今野忠成(38=川崎)は共にダービー初制覇となった。浦和所属馬のVは90年アウトランセイコー以来、25年ぶり3度目。2着に的場文男(58=大井)騎乗のパーティメーカーが入り、小久保厩舎のワンツーフィニッシュとなった。

 オウマタイム、ストゥディウムの2強は沈んだ。頂点に立ったのは昨年の南関2歳新馬戦V第1号、9番人気ラッキープリンスだった。好位追走から4角で4番手の外に取り付く。そしてもう先頭だ。誰もが仕掛けが早いと思った。鞍上・今野ですら思った。だが、馬は踏ん張った。外から猛然と追い上げた僚馬パーティメーカーを3/4馬身抑えた。ダービー14度目の挑戦で夢をかなえた今野は左腕を夜空に大きく突き上げた。

 脱鞍所に戻っての第一声は「ゴメン!的場さん!!」。お立ち台では「今の力を100%出せればチャンスはあると思っていた。動くのが早いかと思ったが本当に頑張ってくれた」と今野は振り返った。

 小久保師はアッと驚く管理馬ワンツー。ダービーVは初めてだ。「最初から期待していた馬。とにかく、皆さんに感謝。正直なところ最後は“マトバ!”と叫んでいたけどね」と笑った。

 瞳の奥に光るものがあった。5月22日、最愛の母・静代さんを病気のため78歳で失った。急死だった。母よ見てくれ、俺は俺に課せられた仕事をする。あらためて、そう決意した。デビューから4連勝したラッキープリンス。その後は波があった。16着惨敗を喫したこともある。だが、まるでダービーに合わせたかのように体質が強くなった。「以前から、おふくろもラッキープリンスを気に掛けていた」。遺影を手に語った師。見えない力に後押しされ“幸運な王子”は真の王者となった。

 ◆ラッキープリンス 父サイレントディール 母ウォータートスカ(母の父オペラハウス) 牡3歳 浦和・小久保智厩舎 馬主・国田正忠氏 生産者・北海道浦河町の畔高牧場 戦績12戦6勝 総獲得賞金7060万円。

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