【有馬記念】ルーラー、キングダム2頭出し 吉田代表「最大のチャンス」

[ 2012年12月21日 06:00 ]

インタビューに答える吉田俊介氏

 ダービーでワンツーフィニッシュを決め、ジャパンCでは1~3着を独占するなど今年の競馬界を席巻したのがサンデーレーシング。有馬記念はルーラーシップとローズキングダムの2頭出しで臨む。サンデーレーシングの吉田俊介代表(38)に今年を振り返ってもらうとともに有馬記念の抱負を聞いた。

【有馬記念】

 ――大活躍の1年間。有馬記念はルーラーシップとローズキングダムの2頭が出走する。

 吉田氏 有馬記念は1年の締めくくりですからね。オルフェーヴルが出走を見送ることになったのは申し訳なく思いますが、その分もこの2頭に頑張ってもらいたいです。

 ――ルーラーシップはデビュー前から評判の1頭だった。

 母がエアグルーヴ(G1・2勝) ですし、もちろんデビュー前から期待の高かった馬です。心肺機能が高く、乗った人は誰もが「凄いな」と言う。馬体も良く、サンデーサイレンスの血も入っていないので先々は種牡馬としても期待しています。

 ――4月に香港のクイーンエリザベス2世Cを勝ったが、国内ではまだG1を勝っていない。

 それでもジャパンCでも3着ですし、今年は大きく崩れてはいませんから。“身内”でもあるジャパンCの1、2着馬が出ない今回は結果的に最大のチャンスになったのでは。

 ――ポイントは?

 最近スタートが悪くなっているので、まずはスタート。あとは6つのコーナーをいかにうまく回るかでしょう。

 ――ローズキングダムは近走が物足りない。

 特に何が悪いというわけではないのですが、力を出し切れていませんね。きっかけ一つだと思うのですが…。今回はノリにノっている岩田騎手との新コンビになるので、何とかきっかけをつかんでほしいですね。

 ――ダービーはディープブリランテとフェノーメノが1、2着。ジャパンCではジェンティルドンナとオルフェーヴルが歴史に残る名勝負を演じた。ノーザンファーム空港牧場場長としての立場も含めて、好調の理由をどう捉えている?

 クラブの馬に限らず、個々の馬を第一に考えて競馬に向かう調整を心掛けています。ノーザンファームしがらき(滋賀県)やノーザンファーム天栄(福島県)ができて、レースとレースの間もより関われるようになった。それが徐々に成績に反映されてきているとしたらうれしいです。

 ――今年最も印象深かったレースは?

 やはりジャパンCですね。2頭の3冠馬の対決は個人的にも見てみたい一戦でした。わざわざ同じレースを使わなくてもという意見も一部にありましたが、最後の直線でのマッチレースには、良いものを見ることができた、と感動しました。

 ――2頭の来年の展望は?

 オルフェーヴルは現役続行が決まった以上、凱旋門賞が最大の目標になります。ジェンティルドンナの方はまだ具体的には決まっていませんが、こちらも海外を視野に入れています。ドバイなのか凱旋門賞なのか。馬の状態を第一に考えていきたい。

 ――2頭の再戦を期待するファンも多い。

 それぞれの馬に合わせてレースを決めていくので、G1での再戦はあり得ます。現段階では何とも言えませんが、凱旋門賞での再戦も「なくはない」と思います。

 ――今後の目標は?

 オルフェーヴルが凱旋門賞で2着に負けたことで、余計に凱旋門賞を勝ちたくなりましたね。条件さえ整えば、これでもか、これでもか、と挑戦していきたい。あとは今年のジャパンCのような魅力的なレースをする馬をどんどん送り出して日本の競馬を盛り上げていきたい。あのレースの凄さはやっぱり競馬場にいないと分からないと思うんですよ。競馬場に行って生で見たいと思ってもらえる馬をもっともっと出していきたいですね。

 ◆吉田 俊介(よしだ・しゅんすけ)1974年(昭49)4月13日、北海道出身の38歳。慶大経済学部卒。98年ノーザンファーム入社。04年ノーザンファーム空港牧場場長就任。07年からサンデーレーシング代表兼務。父はノーザンファーム代表の吉田勝己氏。趣味サッカー観戦、ひいきのチームはバルセロナ。夫人との間に1男1女。血液型B。

 ◆サンデーレーシング JRAに馬主登録をしているクラブ法人。88年設立。愛馬会法人「サンデーサラブレッドクラブ」から匿名組合契約に基づく競走馬の現物出資を受けてレースに出走させている。勝負服は黒、赤十字たすき、袖黄縦じま。引退した主な活躍馬はブエナビスタ、ドリームジャーニー、ヴァーミリアンなど。

 ≪心に残るラインクラフト≫「思い出の一頭は?」。ありきたりな記者の質問に、吉田氏は一瞬考えてから「ラインクラフト」の名を挙げた。05年桜花賞、NHKマイルCを勝った名牝だが、ノーザンファーム&サンデーレーシングのそうそうたるラインアップを思えば少し意外な感じも。氏は「空港牧場の場長になりたてでうまくいかないことも多かった時期に活躍してくれて、自分の気持ちを癒やしてくれた」と理由を話した。「失敗もいろいろありましたよ。でも一つ一つの努力の積み重ねがようやく実になってきていると思うんです」。結果が出ている今も競馬に対する姿勢は真摯(しんし)かつ謙虚。牧場での調教中に非業の死を遂げた名牝が氏の胸の中で生き続ける限り、その姿勢は今後も変わらないだろう。

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