馬留学レポート第8回「馬の本質2 馬に感情はない」

[ 2012年4月23日 06:00 ]

 お馬さんの感情ってどんなものがあると思いますか?大体の方は、「好き(love)」、「嫌い(hate)」、「心配(worry)」、「怒る(angry)」だと思います。

 「このお馬さんは私のことを好きでいてくれてる!」「ゲートが嫌いなんだ」「新しい場所に移動したから心配なのかな」と、私たちはお馬さんを自らの立場に置き換えて考えがちですが、実はお馬さんには感情というものがありません。残念なことに好きという感情もないのです。

 お馬さんを見て〇〇のことが好きなんだと人が判断する時は、人に対しては本能で持つ“尊敬”を示しており、食べ物であれば訓練された味覚でその食べ物のおいしさを知ったから、お気に入りの食べ物ができるのです。(それでも地面に生えている青草が一番なのはかわりないですが)。お馬さんの行動を見て嫌いなんだと人が判断する場合は、人に対してならば尊敬をしていないか、またはその人から恐怖体験を受けて“こわい”のです。それ以外のことも嫌いではなく“こわい”からくる反応なのです。

 実は人が考える嫌い・心配・怒るはすべて“こわい”という馬の本能であり、そのレベルが違うだけなのです。だからゲートが嫌い、注射が嫌い、プールが嫌いなのではなく“こわい”だけなので、トレーニングややり方次第で慣れさせていくことが可能なのです。対して、尊敬している人に身を任せればいい。それは好きではなく“リラックス”。「ポカポカシャワーで気持ちいいー」。これも好きではなく“リラックス”。これらをお馬さんが〇〇が好きという言葉で表現してもいいのです。ただ本質としては感情はなく“リラックス”してる状態なのです。
「ゲートに慣れさせる」「痛さ・ストレスを感じさずに注射をする」「悪癖をなくす」。これらはきちんと教育をすれば全て可能なことだそうです。例え既に3歳以上のお馬さんであっても可能だそうです。 悪癖については今度お話しますが、悪癖を持ち続けるとレースで能力を発揮することも難しくなり、また身体にも影響が出やすくなります。(しかも大抵、最初は見えないもので、体の表面として出るのはしばらく後です)

 なるべくなら早めに治したいものですよね。機会を見て、それぞれの悪癖の治し方も書かせていただきますね。(馬バカのウマドル 桜井聖良)

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2012年4月23日のニュース