【NHKマイルC】ボス復権V!次は英G1獲り

[ 2011年5月9日 06:00 ]

レースを制したグランプリボス(右)

 2歳王者が復権だ!!3歳マイル王決定戦「第16回NHKマイルC」が東京競馬場で行われ、ウィリアムズ騎乗の1番人気グランプリボスが直線で力強く伸び、朝日杯FSに続く2度目のG1制覇。先月30日に心不全で死んだ父サクラバクシンオーにささげる勝利となった。次はセントジェームズパレスS(6月14日、英G1・アスコット競馬場、芝1600メートル)に挑戦予定。無傷V6の強豪フランケルと“世界王者”の座を懸けて激突する。

 さすがは2歳王者。グランプリボスの強さだけが際立った。新コンビのウィリアムズが何とかなだめ、7番手で迎えた直線。残り1F標識で右ムチ1発が飛ぶと猛スパート。前を行く6頭を豪快にひとのみ。返す刀で背後にいたコティリオンも1馬身半差で楽々と退けた。見事なまでの独り舞台だった。

 「ドウモ、アリガトウ」。昨年の天皇賞・春(ジャガーメイル)に続き、2度目のJRA・G1制覇を飾ったウィリアムズは会心の笑顔。G1馬の騎乗依頼に燃え、必死に研究した。2週連続で調教に乗り、負けた2戦のビデオを何度も見直した。「これだけチャンスのある馬に乗せてもらえてうれしかったし、結果を出せて良かった。掛かった?それも想定内。日本の2歳王者が3歳になっても活躍していることは知っていたし、自信を持って乗った。僕は1回ムチを入れただけ。凄い脚、凄い精神力の持ち主だ」

 鞍上とガッチリ握手した矢作師は初めてG1タイトルを獲得した時とはまた違う喜びを感じていた。今季2戦は4、3着と惜敗続き。それでも、ファンは前売りの段階からずっと1番人気に支持し続けた。

 「(5番人気の)朝日杯の時はノンプレッシャー。今回はもの凄いプレッシャーだった。負けてはいけない馬を調教師として2回も結果を出してやれず…。馬がよく耐えてくれた」。感無量の指揮官は、一方でつらい胸の内を明かした。6日朝に旧友の愛妻が他界。通夜、告別式にも出席できず競馬場へ。「生前からもしもの時は盛大に送ってやろうと話していた…。そういう意味では(4月30日に死んだ)父サクラバクシンオーの弔いというより、友人のための弔いだった。ボスも追った後の体調が落ち気味で…。きょうも6キロ減でよく止まったと思う。この馬には感謝しかない」

 次走は英G1セントジェームズパレスSに挑む。21日に検疫に入り、27日出国のプラン。デムーロと再コンビを組む予定だ。「馬の状態を慎重に見極めて最終的には決めたい。ウィリアムズも乗りたい?ミルコ(デムーロ)も待ってくれているので…。今、世界一強い馬とぜひやりたい」。英2000ギニーで無傷6連勝を飾ったフランケルが待つ頂上決戦。日本の3歳最強マイラーにかかる期待は大きい。1カ月後、異国の地から快走の報が必ずや届くはずだ。

 ≪代表も海外挑戦“楽しみ”≫グランプリボスを所有するグランプリ(大阪市の映像コンテンツ企画制作会社)も昨年の朝日杯FSに続くG1・2勝目。代表の北側司氏(33)は「プレッシャーが大きかった中で完勝できたのは矢作先生のおかげ。前哨戦で敗れたが大舞台に強い馬だと信じていた」と喜んだ。「体調次第だが次は英国ですね」と海外遠征を楽しみにしていた。

 ◆グランプリボス 父サクラバクシンオー 母ロージーミスト(母の父サンデーサイレンス) 牡3歳 栗東・矢作厩舎所属 馬主・グランプリ 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績7戦4勝 総獲得賞金2億3505万5000円。

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